仏、移民受け入れ管理強化 特定職種に数値目標
保守層の批判意識

ヨーロッパ
2019/11/7 19:30
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【パリ=白石透冴】フランス政府は6日、移民受け入れの管理強化策を発表した。特定の職種について、受け入れ人数に数値目標を設けるほか、難民申請者の健康保険制度の利用を制限する。増え続ける移民・難民に歯止めをかける姿勢を打ち出すことで、厳格な対応を求める保守層の支持を取り込む狙いも透ける。欧州連合(EU)全体の移民受け入れ議論にも影響を与える可能性もある。

6日、移民政策について記者会見するフィリップ仏首相(パリ)=ロイター

フィリップ首相は6日の記者会見で移民・難民の管理厳格化に関する20の施策を表明した。現在の政策はコントロールを失っているとして「制御をもう一度取り戻したい」と強調した。政令などで規則を変える見通しだ。

移民受け入れ人数に数値目標を設けるのは初めて。ただ、数値は国内で必要な職種と人数を示すもので、受け入れ人数の「上限数値」ではないとしている。具体的な職種や目標値は公表しなかったが、ペニコ労働相は「現状から大きく変えることはしない」と述べた。20年夏ごろから導入する計画だ。

一方、難民申請者の健康保険を巡っては、申請の3カ月後から制度を利用できるようにする。現在は申請を出せばすぐに保険適用となり無料で医療を受けられる。このため治療目的で難民申請する移民がいると批判の声が上がっていた。

マクロン政権が移民関連の法令改革に踏み切るのは18年に続いて2回目。今回の管理強化策は、増え続ける移民・難民がフランス人の職を奪っているとの保守層を中心とする世論の批判に配慮したものとみられる。欧州への移民・難民の流入は減る傾向にあるが、フランスへ難民申請した移民の件数は、18年は約12万件と前の年比2割以上増加した。

極右・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン党首は移民排斥の主張で存在感を増している。5月の欧州議会選挙ではRNは第1党となり、与党・共和国前進を上回った。

22年の次期大統領選では、前回同様、マクロン大統領とルペン氏の一騎打ちになるとの見方がある。マクロン政権は、移民問題が極右躍進の一因と考え、支持層の拡大を防ぐため、新たな管理強化策の導入に踏み切ったとみられる。

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