GAFA、プライバシー保護に腐心 アップルは取り組み公開

2019/11/7 14:40
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【シリコンバレー=白石武志】「GAFA」と呼ばれる米ネット大手が利用者のプライバシー保護に神経をとがらせている。アップルは自社製品に個人データの収集を難しくする機能を搭載するなど、広告収入に依存するライバルとの違いを打ち出している。一方、2018年の個人情報流出事件が尾を引くフェイスブックは今も捜査当局との防戦に追われる。消費者は個人情報の扱いに敏感になっており、各社の成長力も左右しそうだ。

アップルのクックCEOはプライバシー保護をブランド戦略の中核に位置づける=AP

「アップルでは、我々がつくる全てのものにプライバシーが組み込まれている」。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は6日、ツイッター上にこう投稿し、「iPhone」や「iPad」など自社の製品における個人情報の取り扱いを紹介するウェブサイトを刷新したことを明らかにした。

同社のブラウザー「サファリ」や位置情報サービスなどの重要なサービスについては、データ収集や保護の仕組みを詳しく解説した「白書」も公開した。一部のウェブサイトでは広告配信のために訪問者の行動を追跡する企業もあるが、サファリを使うと人工知能(AI)によって利用者のデータが外部から収集しにくくなるという。

ハードウエア販売が主力のアップルはこの1年ほどプライバシー保護を前面に掲げ、個人情報を使った広告ビジネスが売り上げの8割超を占めるグーグルなどとの違いを強調してきた。アップルの広告サービスはアプリ配信サービス「アップストア」内などごく一部に限られており、ライバルとのビジネスモデルの違いをブランドイメージの向上につなげる狙いだ。

一方、18年3月に最大8700万人分の個人情報の不正流用が発覚したフェイスブックは今も捜査当局への対応に追われている。1年半にわたって捜査を続けてきたカリフォルニア州のベセラ司法長官は6日、同社が情報開示を求める召喚状に従わないことで「捜査の足を引っ張っている」として、裁判所により強い命令を求める書類を提出した。

フェイスブックで米国の各州の政府などとの交渉を担当するウィル・キャッスルベリー副社長は同日、「州の調査に広範囲に協力している」とのコメントを出した。捜査協力が不十分だとするベセラ司法長官の批判には直接言及しなかったが、「これまでに数千ページの書面の回答と数十万点の文書を提供してきた」と反論する姿勢も示した。

長引く不祥事は企業イメージを傷つけるとともに、フェイスブックの将来の収益に影響する可能性もある。同社は19年8月には外部のサイトやアプリなどを通じて集めたネット閲覧などのデータを、利用者の希望に応じて広告配信技術に使えなくする機能を導入すると発表した。個人情報の扱いを不安視する利用者の声に応えたかたちだが、特定の関心を持つ個人を狙うターゲティング広告の精度を落とすリスクもある。

プライバシー保護機能は消費者が製品やサービスを選ぶ際の判断材料にもなっており、GAFAは自らの取り組みのアピールに余念がない。グーグルは19年5月、検索や位置情報などの履歴を一定期間後に自動削除する機能を自社サービスに追加したと発表した。アマゾン・ドット・コムも9月、音声AI「アレクサ」で収集した音声データを自動で削除する機能を加えた。

20年1月にはGAFA各社が本社を置くカリフォルニア州でも企業に厳格な個人情報管理を求める州法が施行される。住民の個人情報や世帯に関する情報を保有する企業に対し、消費者からの情報開示やデータ削除の請求に応じることを義務付ける。アップルが自社の取り組みを開示した背景には、こうした規制強化に先んじることで、先進的なイメージを浸透させる狙いもありそうだ。

ただ、プライバシー保護の充実をうたうアップルでも、7月末には音声AI「シリ」の誤作動によって利用者が意図しない会話内容が外部に渡っていたことが判明。「高い理想を十分に満たしていないことに気づいた」と陳謝する事態を招いている。GAFA各社は膨大な個人情報を扱うだけに、情報流出などのリスクに常に向き合うことも迫られている。

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