深まるウクライナ疑惑 米高官、軍事支援は「見返り」

2019/11/6 19:00
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【ワシントン=中村亮】ウクライナを巡るトランプ米大統領の不正疑惑が深まってきた。2020年大統領選で野党・民主党の有力候補であるバイデン前副大統領に関わる不正調査を同国政府に求めたことについて、米政府高官は議会への非公開証言で軍事支援の「見返り」だったと初めて認めた。大統領の専管事項である外交を悪用して選挙対策を試みた疑いが濃くなったとして、民主党は追及を強める構えだ。

米下院情報特別委員会は5日、ゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)大使の9時間に及ぶ非公開証言記録を公開した。注目を集めたのはソンドランド氏が9月上旬、ウクライナ政府高官に接触し、バイデン氏の息子が同国企業の幹部を務めて不正な利益を得た疑惑を調査しないかぎり、軍事支援の再開はないとの見通しを伝えたと認めたことだ。

トランプ氏は「バイデン氏の不正調査要請は腐敗撲滅が狙いで、ウクライナへの軍事支援とは無関係」との立場を貫いてきた。交換条件としていたのが事実であれば、外国勢力に選挙支援を求めてはならないとする米選挙資金法に違反し、安全保障問題を自らの政治的利益のために活用した「職権乱用」の疑いも強まるからだ。

トランプ氏への巨額献金者で、忠誠心が強いとみられてきたソンドランド氏もこれまで不正調査と軍事支援の関連性を否定していたが、発言内容を翻した形だ。同氏はトランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ氏がバイデン氏の調査をウクライナに要求したことも「違法なように思える」と証言した。

一方、トランプ氏がウクライナ政府への要求を直接指示した証拠は明らかになっておらず、ソンドランド氏もトランプ氏から「(軍事支援と不正調査の)交換条件は望んでいない」と電話で直接伝えられたと証言した。ホワイトハウスは5日の声明で「いかさまの弾劾訴追につながる証拠はほとんどなかった」と反論した。

民主党は9月下旬に着手した弾劾調査で(1)外国政府に選挙支援を求めた疑い(2)軍事支援の見返りにバイデン氏の調査を働きかけた疑い(3)ウクライナ疑惑の隠蔽を図った疑い――の3点を主な対象としてきた。10月初めから外交官などを非公開で聴取し、4日から証言記録の公開を始めた。

ポンペオ国務長官の顧問を務めたマイケル・マッキンリー氏も、バイデン氏に不利な情報を外国政府から集めるために国務省が利用されたとの見解を表明。「長年の外交官キャリアで前代未聞だ」と強調した。

民主党は今後、トランプ氏本人が関与した証拠の収集などに焦点を絞るほか、ウクライナ疑惑の隠蔽を図った疑いも調べる方針だ。米メディアによると、米国家安全保障会議(NSC)スタッフは7月の米・ウクライナ首脳の電話協議について「内密にするように」とホワイトハウス法律顧問から強く念を押された。民主党はこの法律顧問に非公開証言に応じるよう求めている。

民主党は11月中にウクライナ疑惑に関する公聴会も開く。全米に生中継される公聴会でトランプ氏の疑惑に国民の関心を集め、弾劾訴追への支持を高める狙いだ。ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)にも調査協力を求めている。

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