近鉄球団買いませんか ヒルズの熱い夏
プロ野球動かしたテック族(1)

プロ野球動かしたテック族
2019/11/10 2:00 (2019/11/11 1:00更新)
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日本経済新聞 電子版
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戦後に国民的娯楽の地位を築いたプロ野球は15年前、存亡の危機にあった。近鉄・オリックスの合併構想を機に噴出した球団再編運動。2004年、選手たちによる史上初のストライキを機に、球界は勃興し始めていたネット産業の起業家たちと出会う。リーマンショックの4年前、マネーがあふれユーフォリア(陶酔)という言葉を耳にすることが増えたころの話だ。

【次回記事】 もう一つの球団合併、止めたソフトバンク

■合併報道で球界激震

熱い夏の始まりを告げたのは、一本のニュースだった。

「近鉄球団 オリックスに譲渡交渉」

04年6月13日、日本経済新聞が朝刊1面で報じると、その日のうちに近鉄本社が記者会見を開き、オリックスとの間で両球団の合併が合意に達していることを認めた。

近鉄バファローズの選手会長だった礒部公一の携帯が鳴ったのはその日の午後。親交の深いオリックスの谷佳知からだった。「聞いたか。うちと近鉄が一緒になるらしいで」。礒部は耳下腺炎で登録抹消中で騒動は初耳だった。「は? なんのことですか」。慌てて球団代表に連絡したが要領を得ない。

古田敦也が報道を知ったのは遠征先の秋田だった。古田はヤクルトの主力捕手である一方、労働組合であるプロ野球選手会の会長を務める。報道陣に囲まれたが「正直、その時は合併ではなく身売りの間違いだと思っていました」。

だが4日後のパ・リーグ理事会で両球団の合併構想があっさりと承認される。古田や礒部らは選手会として見直しを求めたが取り付くしまもない。メディアでは1リーグ制に移行する可能性も報じられ始めていた。この日、選手会として出した声明文の末尾にはこんな一文が記されていた。「プロ野球参入に興味のある企業はどうか名乗り出てほしい」

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■舞台は六本木ヒルズ

水面下では事態が急速に動き始めていた。舞台は前年開業したばかりの六本木ヒルズ。…

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