ブザンソン優勝の沖澤のどか「ここからスタート」

文化往来
2019/11/11 2:00
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若手指揮者の登竜門であるフランスのブザンソン国際指揮者コンクールで、ベルリン在住の日本人指揮者、沖澤のどか(32)が優勝した。小澤征爾や佐渡裕、山田和樹ら著名な指揮者が飛躍のきっかけをつかんだコンクールだけに国内外の注目が集まるが「むしろここからが本当のスタート」と浮かれた様子はない。

ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した沖澤=同コンクール事務局提供

ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した沖澤=同コンクール事務局提供

1987年青森県生まれ。幼い頃からピアノやチェロを習い、高校は地元県立高校の普通科に進学。吹奏楽部でオーボエを吹いていたが、「音楽家になろうという気はなかった」。しかし、高校2年でオーストラリアへの語学留学を経験して多様な国の人々や文化に触れ「音楽家として世界と交流したい」という思いを抱く。東京芸術大学の指揮科を受験したのは「器楽科だと準備が間に合わない。指揮科なら大丈夫では」というやや不純な動機だった。

指揮者経験がゼロの状態で入学しただけに、壁にぶち当たった。「指揮者に向いていない」とショックを受け、半年間休学。音楽をやめようと思ったこともあったが、「指揮していて時々訪れる幽体離脱のような特別な瞬間が忘れられず、勉強を続けた」と振り返る。ベルリン留学中にドイツやフランスの音楽、オペラを中心に学び、才能が開花。2018年には東京国際コンクールで1位に。今年3月、東京で開かれた「東京・春・音楽祭」の「イタリア・オペラ・アカデミー」では世界的巨匠のリッカルド・ムーティからも高く評価された。2020年の同音楽祭でもムーティの指導を受ける。

「指揮者は自分では音を出せず、オーケストラからいかにいい音を引き出すかがすべて。私の指揮を見るのでなく、音楽を聴いてほしい」。自然体で人に接し、信頼を得ていく"人間力"こそ飛躍の一因だろう。

(岩崎貴行)

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