トヨタ、ダイハツから新型SUV 小型車生産を効率化

2019/11/5 21:19
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トヨタ自動車の小型車でのOEM(相手先ブランドによる生産)調達が広がっている。5日にダイハツ工業からOEM供給を受ける小型多目的スポーツ車(SUV)「ライズ」を発売したと発表した。トヨタはインドでスズキからも新たにOEMを受け始めた。小型車は厳しい価格競争を強いられており、自前にこだわらず競争力を高める動きが加速している。

ダイハツが発表した「ロッキー」(左)とトヨタの「ライズ」(5日、東京都中央区)

ダイハツが発表した「ロッキー」(左)とトヨタの「ライズ」(5日、東京都中央区)

5日に発表したライズは軽自動車より一回り大きなサイズの小型SUVだ。ダイハツからは「ロッキー」の車名で発売する。ダイハツが導入した新たな設計手法「DNGA」を採用した車種となる。プラットフォームなどを刷新し走行性能を高めているほか、サイズの割に広い車室空間や荷室をとったのが特徴だ。

トヨタのSUVはこれまで「C-HR」が最小だったが、さらに小さなサイズだ。会見した国内販売事業本部の長田准副本部長は「より大きなサイズからのダウンサイズの需要がある。そこに対応していく」と語った。

国内ではSUV人気が続き、4月に発売したSUVの新型「RAV4」は3年ぶりの国内投入でヒットしている。「これまでのラインアップでは(RAV4では)すくえなかった20代の顧客を取り込める」。トヨタカローラ中京(名古屋市)の営業担当者はライズにこう期待を込める。

トヨタは国内で2006年に発売したSUV「ラッシュ」を皮切りにダイハツからのOEM調達を本格化。今では小型車の「タンク」「ルーミー」(ダイハツ名は『トール』)や、軽自動車の「ピクシス・エポック」(同『ミライース』)などに広がっている。海外でも小型ミニバン「カリヤ」などの供給を受ける。

ここに来てOEMを拡大するのは、小型車の競争力を一段と引き上げる狙いがある。トヨタも「ヤリス(日本名ヴィッツ)」などの小型車をそろえるが、新興国で戦うにはコスト面で課題があった。10年には新興国向け小型車「エティオス」を投入したが、価格と品質の両立に苦しみ新興国のシェア拡大に思ったほどはつながっていない。

世界的に環境規制が厳しくなる中、燃費の良い小型車は需要拡大が予想される。新興国開拓の「エントリーカー」としての重要性も高まっており、小型車強化は成長性を左右する。そこで急いでいるのが、自前にこだわらないてこ入れ戦略だ。

トヨタは17年にダイハツと新たな社内カンパニーである「新興国小型車カンパニー」を設立。新興国向けの小型車の開発をダイハツに任せる体制に移行した。ライズは新興国展開も見据えており、海外でのOEM調達も拡大する可能性がある。

加えて、小型車では国外に限りスズキからのOEM調達も始まっている。6月にトヨタのインド子会社が発売した新型小型ハッチバック「グランザ」は、その第1弾だ。スズキの「バレーノ」と同一の車種で価格は約72万ルピー(約110万円)から。トヨタとしてはインドで販売する車種で最安値水準だ。

スズキからのOEM供給車種はバレーノに加えて、多目的スポーツ車(SUV)「ビターラ・ブレッツァ」、セダン「シアズ」、ミニバン「エルティガ」などにも広がる見通し。「地域にあった小型車づくりではスズキに学ぶものが多い」(幹部)ことが背景にある。

一方、「本家」であるトヨタ本体の小型車部門も競争力強化に向けた改革を加速している。20年には主力小型車のヤリスをフルモデルチェンジして投入する。「TNGA」と呼ぶ新たな設計手法を取り入れて、共通化した部品を、新型「アクア」やクロスオーバーの新型車でも採用し、コストを引き下げる計画だ。

さらに生産を担うトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)は、20年末に東富士工場(静岡県裾野市)を閉鎖し、岩手や宮城県の工場に生産を集約する。抜本的に競争力を引き上げる動きも進む。

トヨタ、ダイハツ、そしてスズキ。「三つどもえ」ともいえる競争にさらされ、トヨタが小型車の総合力を引き上げられるかが注目されそうだ。

(押切智義、藤岡昂)

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