自動車×IT「オートテック」企業への投資加速

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コラム(テクノロジー)
2019/11/8 2:00
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オートテック企業の1社、米ニューロの無人宅配サービスのイメージ(米アリゾナ州、米クローガー提供)

オートテック企業の1社、米ニューロの無人宅配サービスのイメージ(米アリゾナ州、米クローガー提供)

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 自動運転時代の本格到来を控え、関連技術を開発する米スタートアップ企業への投資が加速している。自動車技術とITを組み合わせた「オートテック」分野の新興企業の資金調達額は過去最高を更新。企業価値が10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」も相次ぎ誕生している。

「オートテック」と呼ばれる自動車分野のスタートアップ企業の資金調達額がここ数年増えている。コネクティビティー(接続性)や自動運転などの新しいテクノロジーにより、車の性能や燃費、安全性が高まると期待されていることが背景にある。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

2018年の米オートテック企業の資金調達件数は210件、調達額は前年比75%増の79億ドルで過去最高を更新した。

本稿ではCBインサイツのデータに基づき、15年以降の年間資金調達額が多かった米オートテック企業上位10社を図に示した。

ここではテクノロジーを使って接続性や安全性、利便性を高め、燃費を改善する次世代のモビリティーエコシステム(移動サービス分野での生態系)を築きつつあるスタートアップを「オートテック」企業と定義する。

こうしたテクノロジーには先進運転支援システム(ADAS)や自動運転、コネクテッドカー(つながる車)、通信サービスを通じて車の安全性や利便性を高めるテレマティクス、車車間通信(V2V)/車両の通信技術(V2X)、車のサイバーセキュリティーなどがある。存続している未上場企業のエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)のみを対象とし、既に廃業している企業や他社に買収された企業は除外した。

資金調達額の多い米オートテック上位10社(2015年~19年10月23日)

資金調達額の多い米オートテック上位10社(2015年~19年10月23日)

<主なポイント>

■資金調達と企業価値のトレンド

資金調達額が最も多いのはラストワンマイルの配送を手掛けるニューロ(Nuro)で、調達額は公表ベースで10億ドルを上回った。同社は配送ロボットで有名だが、自動運転トラックの米アイク(Ike)など他社に自動運転ソフトウエアをライセンス供与する事業も手がけている。

ニューロは19年2月、シリーズBの資金調達ラウンドでソフトバンクグループから9億4000万ドルを調達し、今年初めて上位10社に入った。

この図ではユニコーンは7社あり、そのうち3社が今年初めてトップ10入りを果たした。

7社の内訳は、自動運転タクシーを開発中のズークス(Zoox、企業価値32億ドル)、ニューロ(27億ドル)、空飛ぶ車を手掛けるオーロラ・フライト・サイエンシズ(Aurora Flight Sciences、25億ドル)、高性能のセンサーLiDAR(ライダー)メーカーのクアナジー・システムズ(Quanergy Systems、20億ドル)、米国にも拠点を持つ中国発の自動運転技術開発会社ポニー・エーアイ(pony.ai、小馬智行、17億ドル)、商用車向け車載器販売のキープ・トラッキン(KeepTruckin、13億ドル)、自動運転トラックのトゥーシンプル(TuSimple、10億ドル)だ。キープ・トラッキン以外は全て半自動運転車や完全自動運転車向け技術を開発している企業だ。

(注)ビデオテレマティクス(カメラを使った運転状況の把握・解析)のリティックス(Lytx)はその後ユニコーンになったが、この図に掲載した15年時点ではユニコーンではなかった。

■業界のトレンド

図に登場する多くのスタートアップが力を入れている分野は、商用車を効率的に管理するフリートマネジメント(車両の調達・運用・管理)とテレマティクスだ。スマートドライブ・システムズ(SmartDrive Systems)、エアビクイティ(Airbiquity)、キープ・トラッキンなどの企業が利用者に車両データを追跡しやすくする手段を提供している。コネクテッドカー技術も人気が高く、カイメトラ(Kymetra)、ケンブリッジ・モバイル・テレマティクス(Cambridge Mobile Telematics)、インリックス(Inrix)などが手がけている。

自動運転技術もここ数年目立つ分野だ。ズークス、ポニー・エーアイ、オーロラ、トゥーシンプルはいずれも自動運転技術を開発している。全てユニコーンで、ズークスを除く4社は今年初めてトップ10に入った。

■企業と投資家のトレンド

図に掲載された企業は合計で21社しかない。この21社の順位が毎年入れ替わり、上位10社を構成している。そのうち、全ての年でトップ10入りを果たしているのは、スマートドライブ・システムズと保険スタートアップのメトロマイル(MetroMile)の2社だけだ。

これらの企業に最も活発に投資しているのは、資金だけでなくノウハウや人脈なども提供するスマートマネーVC(ベンチャーキャピタル)の米インデックス・ベンチャーズだ。同社はオーロラ、キープ・トラッキン、メトロマイル、自動運転向けに画像を分析するナウト(Nauto)の4社に出資している。

ソフトバンクグループ、米NEA、米グレイロック・パートナーズはそれぞれ3社に投資している。

ソフトバンク:ニューロ、ケンブリッジ・モバイル・テレマティクス、ナウト

NEA:スマートドライブ・システムズ、メトロマイル、道路の振動を抑えるショックアブソーバー(緩衝器)を製造するクリアモーション(Clear Motion)

グレイロック:ニューロ、オーロラ、ナウト

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