[FT]冷戦後「壁」は自由主義に
大衆迎合、きしむ西側諸国
[有料会員限定]
2つの大地震が現在の世界秩序を形作った。1989年の最初の地震は、自由民主主義と開かれた市場へのあらがえない行進へと結実するようにみえた。この好機は、勝利に酔いしれた人たちによって無駄にされた。そこへ2つ目の地震が襲いかかり、世界はナショナリズムと保護主義へ退潮していった。
30年前のベルリンの壁崩壊をもってイデオロギーの進化が終結したとする「歴史の終わり」理論は、そもそも歴史と無関係だった。共産...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り2543文字

Philip Stephens 英国生まれ。FTで経済担当エディター、政治担当エディター、FT英国版編集長などを経て、チーフ・ポリティカル・コメンテーターに。英国および世界情勢に関する論評を執筆している。著書に「Tony Blair: The Price of Leadership」(2004年)などがある。