マイクロソフト「オフィス」アプリ スマホと両輪戦略

2019/11/5 11:47
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【オーランド(フロリダ州)=佐藤浩実】米マイクロソフトは4日、文書や表計算ソフトを統合したスマートフォン向けの「オフィス」アプリを発表した。従来は「ワード」などを個別に用意していたが、仕事に使うソフトをまとめて扱えるようにする。同社は10月にスマホへの再参入を表明したばかり。クラウドにひも付けたソフトと、ハードのスマホの両輪でモバイルの世界に再び挑む。

4日にフロリダ州で開いた年次技術会議でスマホ向けの統合アプリを披露した。新アプリを開くとクラウドサービス上に保存した「ワード」や「エクセル」「パワーポイント」、写真といったファイルが表示される。各ファイルの編集のほか、文書をPDFに変換したり、PDFに署名したりすることが可能だ。撮った写真の内容を読み取り、文書やエクセルの表を作成することもできる。

同日から「プレビュー版」の配布を始め、数カ月以内をめどにアンドロイドとiOS向けに正式版を公開する。アプリ担当のゼネラルマネージャー、ロブ・ホワード氏は開発経緯を「スマホをもっと(仕事の道具として)生産的に使いたいと思っている人はたくさんいるため」と話す。この説明、実は今年10月に「サプライズ」を狙ったスマホ再参入の発表と密接につながっている。

マイクロソフトのナデラ氏は講演のさなか、多数のハードウエアを貼り付けた壁の前に移動して「端末の革新」について語った(4日、フロリダ州オーランド)

マイクロソフトのナデラ氏は講演のさなか、多数のハードウエアを貼り付けた壁の前に移動して「端末の革新」について語った(4日、フロリダ州オーランド)

4日朝の年次技術会議でのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)の講演は普段とひと味違っていた。業務ソフトの新機能を説明する際、わざわざステージから降りて「サーフェス」などのパソコンが飾ってある壁の前へと移動したのだ。

「僕らは最近、創造力の限界を押し上げた」と2020年に発売する、折り畳める2画面のスマホやタブレット端末を紹介。マイクロソフトが年次会議でハードに言及するのは異例だ。ハードとソフトの両方をてこ入れすることで、一度は諦めた「モバイル」の領域で再び存在感を示したいとの意思表示にも映る。

クラウド基盤や業務ソフトといった「BtoB」で稼ぐ力を確立したマイクロソフトが今なおモバイルの世界を無視できないのは、「仕事」の道具としてスマホなどの存在感が高まっているからだ。電車での移動中など、ちょっとした時間にスマホでメールやビジネスチャットをチェックするのは当たり前の光景になりつつある。

ただ、マイクロソフトのソフトの多くはパソコンでの利用を念頭に置いたものだ。現状のスマホで使いやすいとは言いがたい。そのギャップを2画面スマホなどのハードの革新もあわせて埋めることができればマイクロソフトの浸透度をいっそう高められる。逆に何もしなければ、スマホで使いやすい競合アプリを開発した他社に利用者を奪われかねないとの危機感も透ける。

現時点で、オフィスの統合アプリは2画面に特化した機能を備えているわけではない。ただ、ホワード氏は「2画面端末を作っている以上、想像できるでしょう」と話し、含みを持たせた。ハードとソフトの両輪をどれだけうまく回せるか。過去に2度スマホを発売したものの、いずれも撤退した同社の3度目のスマホ挑戦の成否はこの点がカギを握っている。

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