中国政府、台湾企業に5G開放 26項目優遇策で総統選向けゆさぶり

米中衝突
習政権
2019/11/4 19:16
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【北京=多部田俊輔、台北=伊原健作】中国政府は4日、台湾の企業や個人に対する26項目の優遇策を発表した。企業には次世代通信規格「5G」の開発や通信網整備への参入を認め、個人には不動産購入に便宜を与える。2020年1月投票の台湾の次期総統選に向け、香港で民主化を求めるデモが弾圧され、対中融和の最大野党・国民党の候補が苦戦しており、中国政府としてテコ入れする狙いだとみられる。

中国の習近平国家主席は台湾統一への意欲を鮮明にしている(北京、新華社=共同)

台湾の双十節祝賀式典で演説する蔡英文総統=10日、台北(共同)

中国で対台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室(国台弁)が優遇策の通知を出し、「大陸(中国)の発展のチャンスを台湾の同胞と分かち合う」と強調した。国台弁は18年2月にも31項目の優遇策を発表している。

今回の26項目のうち企業向けは13項目だ。5Gのほか、航空運輸やテーマパークへの参入も認めた。台湾企業の進出が多い地域では、台湾の金融機関に融資やリース事業などの現地法人設立を認めた。個人向けには不動産の購入に便宜を与えるほか、大陸における進学の規制も緩めた。

総統選では、台湾独立志向を持つ与党・民主進歩党(民進党)から再選を目指す現職の蔡英文(ツァイ・インウェン)氏が、国民党候補の韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長を支持率で上回っている。台湾紙「リンゴ日報」が4日発表した世論調査では蔡氏のリードは17ポイントに開いた。

中国の意向を受けた香港政府がデモに強硬姿勢で対応するのをみた有権者が「中国に統一されれば香港の二の舞いになる」と、国民党候補の主張に警戒を強めている。

今回の26項目の優遇策は、中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)をふまえたという。これまでの「ムチ」に加え企業や個人を取り込もうとする「アメ」を追加し、対中経済交流を掲げる国民党側を後押しする狙いが透ける。だが、台湾の成功大学の蒙志成准教授は米中貿易戦争で台湾企業が中国進出や投資に及び腰で、26項目が「世論を動かす効果は大きくならない」と話す。

中国側は8月、蔡政権が「独立を推進している」などとして台湾への個人旅行を禁止。9月にはソロモン諸島など南太平洋の島国2カ国に台湾との断交を働きかけ、中国と国交を樹立させた。

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