台風被害の阿武隈急行、復旧見通せず

台風19号
2019/11/4 17:15
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土砂が流れ込み、ホームが流失するなどの被害を受けた阿武隈急行あぶくま駅(10月、宮城県丸森町)=共同

土砂が流れ込み、ホームが流失するなどの被害を受けた阿武隈急行あぶくま駅(10月、宮城県丸森町)=共同

台風19号で被災した阿武隈急行(福島県伊達市)で全面復旧の見通しが立っていない。被害の少ない区間から運行再開したが、宮城県内の復旧工事は困難が見込まれる。通勤、通学の手段喪失に地元が危機感を強める中、鉄道関係者など民間から支援の動きも出てきた。

阿武隈急行は1984年に設立。福島―槻木(宮城県柴田町)の54.9キロをつなぐ重要な交通網だ。阿武隈川や名産のモモ畑を通り抜ける景色で知られ、鉄道ファンにも親しまれている。

台風19号では、線路の土台が崩れるなど約50カ所に被害が出た。福島―富野(伊達市)は通常ダイヤに戻ったが、他区間の再開時期は未定。ホームの一部が流失したあぶくま駅(宮城県丸森町)周辺で特に被害が大きかった。復旧費用は算定途上だが「数億円単位」(同社)という。

同町の大学4年、阿部利玖さん(22)は、福島市の大学へ通う手段に苦悩している。JRやバスを乗り継ぐ代替ルートは便数が限られる上、片道約3時間かかる。「卒業論文を仕上げないといけないのに、どうすればいいのか」と頭を抱える。

阿武隈急行は2011年の東日本大震災でも被災し、2カ月ほど運休。一時減少した乗客を数年かけて取り戻したタイミングでの台風被害に、丸森町の担当者は「沿線自治体も被災しており、国の支援がないと復旧は厳しい」と予測する。

一方で民間支援の動きも出てきた。秋田県の秋田内陸縦貫鉄道の沿線住民がつくる「秋田内陸線支援団体連合会」は、10月26日から募金活動を始めた。事務局の大穂耕一郎さんは「ローカル線継続は住民にとって重要。力になりたい」と話す。阿武急によると、他の鉄道事業者からも支援の申し出があるという。〔共同〕

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