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レジェンド倒し頂点へ 井上尚弥「世代交代する」

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級トーナメント決勝が7日、さいたまスーパーアリーナで行われる。世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)王者の井上尚弥(26、大橋)が迎え撃つのは、5階級制覇の実績を誇るWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36、フィリピン)。将来の殿堂入りも確実なレジェンドを相手に「世代交代しかない」と強い決意で臨む。

ドネア戦に向け調整する井上尚に死角は見当たらない

昨年10月にトーナメントが始まったとき、この決勝カードを予想する人は少なかった。そんな中で「ドネアが上がってくると思う」と語っていたのが、当初から本命視されていた井上尚だ。「(プロ入り前の)高校時代から憧れて技術を盗んできた選手」。当時のドネアは全盛期で鮮烈なKOを量産していた。近年は「峠を過ぎた選手」と見られがちだったが、歴戦のキャリア、そして最大の武器である左フックは今なお健在、と日本の天才は見ていたようだ。

この試合に向けた練習でも左フックの射程にはとどまらないという、防御の意識は強くうかがえる。「映像を昔から見ているので、ドネアの動きは全て頭の中にインプットされている」と語る半面、「全然違うドネアが現れるかもしれない。どう来ても対応できる準備はしている」。警戒心の強さは迷いや不安ではなく、隙のなさと言い換えた方が正しいだろう。父の真吾トレーナーも「意識が本当に高くて、最近は練習でも言うことがほとんどなくなった」と語る。

開始70秒で倒したトーナメント1回戦のワンツー、相打ちのタイミングで一瞬早く射抜いた準決勝の左フック。いずれも甘美な感覚を忘れられなくてもおかしくない鮮やかなパンチだったが、攻めに逸(はや)るのは禁物と心得る井上尚に死角は見当たらない。互いに1発で試合を終わらせるパンチを持つが、その瞬間を切り取るスピードは井上尚が断然上だ。1年がかりでたどり着いたフィナーレのリングも、独り舞台になるかもしれない。

(山口大介)

◇   ◇   ◇

ドネア「壁になる」

「私の全てをさらけだそうと思っている。大きくて強い壁になる」とドネアも打倒井上に燃えている。11月16日で37歳になるベテランにとっても、今後のキャリアで二度とこないかもしれないビッグマッチだ。

再三来日しているように、親日家としても知られる。「武士道や侍精神にとても影響を受けてきた。三船敏郎の映画『宮本武蔵』や『七人の侍』を見て育ったんだ。日本での試合は夢だった」

5階級制覇の実績を誇るドネア。その経験、思い切りの良さは侮れない

武士の居合斬りを連想させる左フックで一時代を築いた。日本のファンの脳裏に焼きついているのが、2011年のフェルナンド・モンティエル戦だ。世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王座を10度防衛した長谷川穂積をストップし、ベルトを強奪したメキシコ人に米ラスベガスで挑戦。2回に左フックで倒した際、モンティエルが両手両足をけいれんさせる姿は衝撃的だった。12年にはWBCスーパーバンタム級王座を7度防衛した西岡利晃も9回TKOで下している。

フェザー級まで上げて階級の壁も味わった後、「このクラスがベストだ」というバンタム級に戻って復調した。10月31日の公開練習で見せた左のフック、アッパーは往時の迫力を感じさせた。失うものがないのはドネアの方。その経験、思い切りの良さは侮れない。

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