民主ウォーレン氏「米企業・富裕層に6兆ドル増税」

2019/11/3 17:41
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【ワシントン=河浪武史】米大統領選の民主党予備選の有力候補であるウォーレン上院議員は、国民皆保険の財源として大企業と富裕層に10年で6兆ドル(約650兆円)の増税を検討する。低中所得層への富の分配で格差是正につなげる狙いだが、増税の規模は「トランプ減税」の4倍と極めて巨大だ。対抗するトランプ大統領は追加減税を検討しており、税・社会保障が大統領選の重要争点に浮上してきた。

1日、中西部アイオワ州で遊説するウォーレン氏。富裕層増税に強い意欲を示す=ロイター

1日、中西部アイオワ州で遊説するウォーレン氏。富裕層増税に強い意欲を示す=ロイター

ウォーレン氏は1日、「私の構想は中間層に1ペニーの増税も強いない」などと主張した。急進左派の同氏は経済格差に不満を持つ低所得層や若者層の支持を得ており、世論調査ではバイデン前副大統領らと並ぶ民主予備選の先頭ランナーの一人だ。

米国では日本のような政府主導の医療の皆保険はなく、成人人口の12%が無保険とされる。ウォーレン氏は民間保険を廃止して公的皆保険に統合する案を提示。国民の民間保険会社への支払いなどがなくなって「10年で11兆ドルの負担減になる」と主張した。

ウォーレン氏は皆保険の実現に、10年間で20兆5千億ドルの財源が必要になると試算した。バイデン氏ら中道派は以前から「国民皆保険は中間所得層の負担増が避けられない」などと批判。ウォーレン氏は中間層の負担増はゼロにする一方、富裕層や大企業に大増税を課す財源案を表明した。

提案の柱は5千万ドル以上の資産を持つ超富裕層への課税だ。同氏は課税率を2~3%として検討してきたが、1日の提案では税率を最大6%に上げた。富裕層を対象とした所得増税も打ち出し、10年間で3兆ドルという巨額の税収増を見込む。

富裕税はフローの収入を税源とする所得税とは異なり、株式や不動産など資産価値そのものに課税するのが特徴だ。税率3%でもアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏の資産は約35年で半減すると試算され、富裕層への打撃は大きい。

トランプ政権は法人税率を35%から21%に引き下げたが、ウォーレン氏の案では再び35%に引き上げる。巨大企業にはさらに税率を7%上乗せし、海外収益にも35%の税率を課す。金融機関には株式や債券の取引ごとに購入額の0.1%を課税する金融新税も設け、企業部門でも10年で3~4兆ドルの税収増につなげる。

予備選ではバーニー・サンダース上院議員(無所属)らも国民皆保険を掲げるが、同氏は中間層の負担増は避けられないとしていた。ただ、同氏も1600万ドル以上の資産を持つ富裕層に1~8%を課税するとしており、大胆な富裕層課税は格差是正を大統領選の争点としたい民主党のアピール材料となっている。

対するトランプ氏は「米国を社会主義にするな」と民主候補を批判し、追加減税を探る。17年末に10年で1.5兆ドルという大型減税を成立させたばかりだが、クドロー国家経済会議委員長は「中間層や製造業労働者、小事業者を対象に新たな税制優遇策を検討する」と述べ、選挙前に具体策をまとめる考えを明かす。

共和党の議会関係者は「ウォーレン氏ら左派は急進的な支持者がそろっており中道には向かえない。左派の躍進はむしろトランプ氏の追い風だ」とみる。民主党内には中道路線を強める観点から、16年の選挙で敗れたヒラリー・クリントン元国務長官の出馬待望論まで浮上している。

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