岩国海兵隊、規則違反横行 戦闘機内で自撮りや読書
米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)所属の戦闘機部隊で、重大事故につながりかねない規則違反が横行している実態が、3日までに第1海兵航空団(沖縄県)の調査報告書で分かった。手放しの操縦や飛行中の読書、ひげを整えながらの自撮りを含む。
部隊では空中接触が相次ぎ、昨年12月には高知県沖で6人が死亡・行方不明になる墜落事故があった。安全軽視の運用が明らかになった。
報告書は高知県沖で第242(全天候)戦闘攻撃中隊のFA18戦闘攻撃機と別の部隊のKC130空中給油機が接触した事故と、2016年4月に沖縄県沖で起きたFA18とKC130の接触事故を調査した。
もともと高知だけが対象だったが、調べの過程で沖縄事故の存在がクローズアップされ、上部組織の第1海兵航空団が正式調査を指示した。沖縄事故は日本側に報告していなかった。
いずれも空中給油中に発生し、同じ攻撃中隊に所属するFA18側に責任があった。報告書は相次ぐ事故の背景として、部隊内に「薬物乱用、アルコールの過剰摂取、不倫、指示違反といった職業倫理にもとる実例」が存在したと指摘した。
高知の事故では乗員2人の尿から睡眠導入剤の成分が検出され、飛行任務に不適格だった可能性があると判断している。睡眠導入剤を無許可では処方しない軍医に対して不満を抱く隊員同士の通信アプリのやりとりもあった。
調査後、第1海兵航空団は隊長ら4人を更迭した。報告書によると隊長も機内で酸素マスクを外した姿を撮影し、通信アプリのプロフィルに掲載していた。
隊員の携帯電話からは16年10月に夜間の空中給油を撮影した動画も見つかったという。沖縄の事故から約半年が経過していたが、規律は失われたままだった。
〔共同〕