首里城正殿1階を火元とほぼ断定 防犯カメラに映像

那覇市の首里城で木造3階建ての正殿などが焼失した火災で、発生直後に正殿1階で炎が噴き上がる映像が防犯カメラに記録されていたことが2日、分かった。沖縄県警は、警備員らの証言も踏まえ、正殿1階が火元とほぼ断定。炎が上がっていた北側を中心に実況見分を進め、出火原因の特定を急ぐ。
正殿1階の北側付近に配電設備が設置されていることも関係者への取材で新たに判明。県警は火災との関連の有無を慎重に調べる。捜査関係者によると、正殿内に外部から侵入した形跡はなく、県警は放火の可能性は低いとみている。
一方、首里城を管理する一般財団法人「沖縄美ら島(ちゅらしま)財団」は2日、寄満(ゆいんち)と呼ばれる建物や南殿の収蔵庫を開け、県指定有形文化財を含む絵画や漆器など計1075点の確認を始めた。収蔵庫には耐火性能があるが、目視では一部が焼けたり、ぬれたりした可能性があるという。
消防などによると、正殿では10月31日午前2時34分、熱に反応するセンサーが作動し、同50分ごろに消防が到着。関係者によると、防犯カメラは正殿外観を映しており、消防到着前、1階東側の外に向かって中から炎が噴き上がっている様子が記録されていた。
水の膜をつくり外部からの延焼を防ぐ「ドレンチャー」が作動していったん火の手が弱まったり、駆け付けた警備員が初期消火したりする様子も映っていた。
防犯カメラはこのほか正殿内にも7台設置されていた。これらの映像は暗く、現時点では出火原因につながる有力な情報は得られていないもようだ。
県警と消防は1日に続き、正殿北側付近の実況見分を実施。瓦を取り除く作業が中心で、原因特定には時間がかかるとみられる。
この火災で正殿など主要施設7棟の計4千平方メートル以上が焼け、収蔵庫以外の場所にあった漆器や絵画など400点以上が焼失したとみられる。〔共同〕