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ケアよりフェア 女性活躍の土壌に(働き方進化論)

やる気の未来(4)

「早く帰って子供と過ごします」。9月、花王グループで働く3児の母、関根牧子(45)は同僚にこう伝えて午後4時に会社を出た。風邪をひいたり、ケガをしたりしたわけではない。このところ残業や飲み会が続いて、さみしがる小学生の子が心配だった。

花王は2018年7月、社員が始業・終業の時間を決めるフレックス制を一歩進め、1日に勤務しなければならない時間の規定を廃止した。仕事も家庭も大切にしたい人の意欲を支える仕組みだ。関根はこれを使い、休んだ分は1時間単位で他の日に働いた。

全社員がそれぞれの事情で休みを取れるため、関根は居心地の悪さが解消されたという。「時間をやりくりして生産性を高めようという思いも強まった」

国は1990年代、本人の申請があれば育児や介護で一定期間の休みを認めるよう、企業に義務付けた。働きやすい職場づくりを競うきっかけになった。

ただ働き方改革が進む現場では、一部の人をケアする制度に、特別扱いしているという不満の声があがる。解決策のひとつとして、性別や子供の有無にかかわらず柔軟に働ける「フェア」な仕組みが広がる。

野村総合研究所上級コンサルタントの武田佳奈(40)は、働く女性について企業のとらえ方が古いと指摘する。私生活より仕事優先でバリバリ働きたい人と、家庭重視で自分のペースを守りたい人。それぞれバリキャリ、ゆるキャリといわれる二元論になりがちだ。武田は「仕事も家庭も頑張りたいフルキャリが増えている」と話し、この層が働く女性の5割とみる。

衣料大手ストライプインターナショナル(岡山市)は3月、稼げる日曜日に人手を確保するため、子育て中の女性にも月1回は出勤してもらうことにした。

社員3700人の9割が女性だ。育児中の週末出勤は仕事そのものへの意欲を奪うとの懸念があった。だが、3人の子を育てる柳ケ瀬汐莉(33)は「平日より忙しくて予算も大きい休日に売り上げを増やすことが、自信につながった」とやりがいを感じている。

良かれと思って仕事を減らすと、意欲を失ったり必要なキャリアを積めなくなったりする。フルキャリを生かすためには、管理職の意識改革が欠かせない。

男性職場といわれてきた物流業界。日新は女性社員の上司を対象に、部下の意欲をくみ取る研修を進める。重い荷物、長い拘束。できるだけ厳しい仕事をさせないことが正しいのかどうか。人事部課長の白岩恒成(50)は「ある意味で過保護。やる気をそいでいた」と話す。女性の活躍は上司の改革から始まる。

戦後続いた年功序列や終身雇用が崩れつつある。価値観や制度は一夜で変えられないし、変化にはリスクを伴う。だが、それでも一歩を踏み出す人々がいる。さて、あなたはどうですか?(敬称略)

 働く女性3000万人超
 総務省によると日本の働く女性は2019年、3000万人を超えた。出産や育児で仕事を辞め、30~40代の女性の就業率が下がる「M字カーブ」も解消しつつある。

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