伊藤忠「地道な商い」で好調 王者三菱商事を射程圏

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2019/11/1 18:43
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伊藤忠商事の好業績が続いている。1日発表した2019年4~9月期の連結純利益は前年同期比12%増の2890億円と同期間として3年連続で過去最高だった。好調の原因は総合商社が得意としてきた鉄鉱石、石炭といった資源だけではなく、地道な事業を積み重ねてきたこと。非資源分野の利益は同期間として9年連続で最高だった。20年3月期通期の純利益予想では業界トップの三菱商事の背中が見えてきた。

伊藤忠の鉢村CFOは非資源分野のさらなる強化を訴えた(1日、都内)

「(大きな利益を稼ぎ出す)特定の事業が打ち上げ花火のように上がる決算ではなく、色々な種類の花が(業績に)貢献してくれた感じだ」。好業績で口が滑らかだった鉢村剛専務執行役員最高財務責任者(CFO)は4~9月期決算をこう総括した。

商社業界に詳しい人ならピンとくることだろう。「打ち上げ花火のような特定の事業」とは資源だ。原料炭に強い三菱商事、鉄鉱石を得意とする三井物産といったライバル商社を念頭に置いた発言であることは想像に難くない。伊藤忠も鉄鉱石が業績に貢献した側面はあるものの、「(非資源の)各分野の実力が付いて着実に収益をあげた」(鉢村氏)と胸を張った。

セグメント別の純利益をみると、機械や住生活は前年同期を上回り、繊維や食料、エネルギー・化学品はほぼ前年並みを維持した。伊藤忠は商いの3原則として「(収益を)稼ぐ、(無駄な経費を)削る、(損失を)防ぐ」を掲げ、頭文字を取って「か・け・ふ」として社内に意識を徹底させている。その効果が出てきたことがうかがえる。

伊藤忠の通期純利益予想は5000億円。ただ、リスク要因に備えて確保してある資金があるうえ、下期の業績が順調に進捗すれば最高で5600億円程度を期待できるとみられる。首位の三菱商事の通期の純利益予想は6000億円だが、シンガポールの石油関連子会社でおきたデリバティブ取引の巨額損失で約345億円の損失が出る見込みなど逆風が吹く。

株式市場でも伊藤忠の独り勝ちが続く。年初からの騰落率は伊藤忠が23%高なのに対し、三菱商事は10%安だ。9月24日には上場来高値を付け、三井物産の時価総額を約1900億円上回った。鉢村氏は「PER(株価収益率)では6倍台で、いまひとつと感じている。どうやって持続的にマーケットに成長を示せるかがカギになる」と語る。

王者、三菱商事は追い上げる伊藤忠をどう迎え撃つか。三菱商事は4~9月期決算を6日、発表する。(企業報道部 星正道)

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