19年南ア成長率、0・5%に減速へ 国営企業改革停滞

2019/11/1 17:54
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【イスタンブール=木寺もも子】南アフリカ財務省は10月30日、2019年の実質成長率が0.5%になるとの見通しを公表した。2月時点で予想した1.5%を下回り、経済の減速感の強まりを印象づけた。主力輸出品のプラチナの価格低迷と、過剰な国営企業支援などが主因だ。歳入減にもつながり、19年度(19年4月~20年3月)の財政収支の赤字は国内総生産(GDP)比で10年ぶりの高水準に達する見込みだ。

30日、議会で説明する南アフリカのムボウェニ財務相=ロイター

南アのムボウェニ財務相が議会で中期予算編成方針を説明した際に明かした。南アのメディアが伝えた。

南アはアフリカ最大規模の工業国で一時は中国、ロシア、ブラジル、インドとともにBRICSと呼ばれ、成長する新興国の象徴とされた。だが、00年代に高騰したプラチナをはじめとする鉱物資源の価格が低迷すると成長率も低下した。

国営企業改革の不調が財政負担となり、成長の足を引っ張っている。事実上の救済に多額の国費を投入し、財政の自由度が限られ、成長に必要な分野へ十分な投資ができない事態に陥っている。

象徴が破綻寸前の国営電力会社エスコムだ。使途不明金が多く、足元で4400億ランド(約3兆円)の負債を抱え、設備投資が遅れている。電力を安定して供給する能力にも疑問符がつく。同様に多額の負債を抱える国営企業はほかにもあり、国費での救済が財政負担の拡大につながっている。

南ア財務省によると18年度にGDP比で4.2%だった財政赤字は19年度は5.9%に達する見通しだ。20年度からの3年間の平均値は6.2%を見込む。政府債務のGDP比は19年度が61%で、22年度には71%に拡大すると同省はみている。

中期予算編成方針の発表後、南ア通貨ランドは対ドルで一時、前日終値に比べ3%下落した。

失業率も高止まりしている。南ア政府統計局が10月29日発表した直近の失業率は29.1%。このうち15~24歳の若年層に限れば50%を超える。このため低賃金で働く外国人労働者が職を奪っているとの不満が自国民に高まり、外国人が経営する店舗が襲撃されている。

南ア政府も財政再建を模索している。10月29日にはエスコムを分割したうえで電力業界への新規参入を促す競争促進策を発表した。ラマポーザ大統領の政権はこれを突破口に国営企業改革を進める方針だが、エスコムの労働組合が強く反対している。

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