日経チャンネルマーケッツでは、マーケット・経済専門チャンネル日経CNBCの番組をライブ配信。配信中の番組から注目のトピックスをお届けします。
三菱ケミカルホールディングスは1日、2020年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比23%減の1310億円になりそうだと発表した。1%減の1680億円としていた従来予想を370億円引き下げ、減益幅が拡大する。中国を中心とした景気の減速でアクリル樹脂原料の需要が弱含み、想定以上に採算が悪化する。
売上高にあたる売上収益は2%減の3兆7650億円と、6%増の4兆800億円だった従来予想から一転して減収になる。石油化学製品の販売価格が落ちこむ。
減損処理など一時的な損益を除いた「コア営業利益」は20%減の2500億円の見通しだ。
下方修正額が最も大きいのはアクリル樹脂原料の「MMA」だ。7~9月のアジア市況は1トン当たり約1800ドルと1年前に比べて約3割下落した。足元では1600ドル程度。ここにきて中国で反転の兆しが出てきたものの、同社は「下期は足元の水準で推移するだろう」(伊達英文最高財務責任者)とみている。
電炉で使われる黒鉛電極の原料「ニードルコークス」も落ち込む。世界景気の減速で黒鉛電極各社が生産調整を進めており、出荷数量の減少が避けられない。
高付加価値の機能商品セグメントも苦戦している。自動車バンパーなどの原料になる高機能プラスチックや、半導体向け部材などの需要が弱含んでいる。
一方、産業ガス事業のコア営業利益は5割増の930億円になりそうだ。子会社の産業ガス大手、大陽日酸で前期の欧米での事業買収の効果が出る。
同日発表した19年4~9月期の連結決算は、売上収益が前年同期比3%減の1兆8276億円、純利益が32%減の813億円だった。
子会社の田辺三菱製薬がロイヤルティー収入をめぐってスイス製薬大手ノバルティスと仲裁手続きに入り、国際会計基準で収益認識ができなくなったことも響いた。