英語民間試験延期 受験生や学校など、安堵と戸惑い

2019/11/1 12:49
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英語民間検定試験の受験に必要だった「共通ID」の発行に関する申し込み案内と書類=共同

英語民間検定試験の受験に必要だった「共通ID」の発行に関する申し込み案内と書類=共同

大学入学共通テストに導入予定だった英語民間試験の見送りが1日、決まった。地域格差や経済格差などの不公平が生じるという懸念が広がるなか、文部科学省の対応は後手に回り、混乱が拡大した。最初の受験生となる高校2年生や学校関係者からは「振り回された」との声が上がる一方で「延期でかえって安心した」との意見も聞かれた。

「これからの勉強はどうしたらいいのだろうか」。東京都豊島区の高校2年の女子生徒(16)は戸惑う。10月に対策をかねて民間試験を受験したばかりで「入試のためと思って受けたのに、なんだったのか……」と漏らした。

日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長は「しっかり準備してきた生徒たちが迷子になってしまう。国の迷走で現場は混乱し、振り回された」と話す。2年以上前から制度設計の不備を指摘してきたが「文科省は医学部の不正入試問題の処理に時間をとられて、民間試験の対応は中途半端なままだった」と憤った。

「まさか延期はないと思っていた」。民間試験を採用予定だった大阪大の梅野健一入試課長は発表に驚いたという。経済的な事情などで民間試験を受けられない受験生への対応策も既に発表しており「延期するからには受験生にとってより良い制度にして」と求めた。

民間試験の実施団体側は事実確認に追われた。英語能力テスト「IELTS」の業務管理日本統括責任者、前田剛さん(48)は「朝にニュースで知ったばかり。まだ国からの通達はない」と明かし「今後は学生や高校に理解してもらえる形で議論を進めてほしい」と語った。

一方、今夏から民間試験対策に取り組んでいる横浜市の高校2年の女子生徒(17)は民間試験の採用を見送る大学が相次ぎ、不安だったという。「例年通りの試験だけを考えればよくなったので、延期になってかえって安心した」と話した。東京都の高校3年の女子生徒(18)は「3年だから浪人できないプレッシャーがあったが、これからは余計なことを心配せず勉強に専念できる」と語った。

青森県むつ市にある県立田名部高校の工藤資基・進路指導主事は「へき地の学校にとっては延期で準備期間ができたのは追い風だ」と評価する。学校から県中心部まで車で2時間ほどかかるため、バスで生徒たちを受験会場まで送迎する準備を進めていたという。「試験会場の場所など民間試験の発表があまりにも遅かった」と話した。

子どもの貧困対策に取り組む公益財団法人「あすのば」(東京)の小河光治代表理事は「経済的な不安を抱える子どものためにも、国がいったん立ち止まったのは本当に良かった」と歓迎する。「1回2万円を超えるような民間試験を受けられない子どもの存在が国には見えていないのでは。経済的な不安から大学進学を諦めざるをえない子どもの実態を放置しないでほしい」と訴えた。

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