米議決権助言会社、SEC提訴 規制巡り対立激化

2019/11/1 3:18
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助言会社の指針導入を決めたSECのクレイトン委員長=ロイター

助言会社の指針導入を決めたSECのクレイトン委員長=ロイター

【ニューヨーク=宮本岳則】議決権行使助言サービス最大手の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は10月31日、米証券取引委員会(SEC)を提訴したと発表した。株主総会に影響を及ぼしてきた助言会社は、SECが8月に公表した新指針で証券取引規制の枠組みに入れられた。ISSは事業の妨げになるとして、差し止めを求めている。両者の対立は日本の規制論議にも影響を与えそうだ。

ISSは企業の株主総会議案に対して賛成・反対の推奨意見を出し、顧客の年金基金や資産運用会社から報酬を得ている。顧客は投資先企業の膨大な議案を精査する必要がなくなるため、助言サービスは広く利用されている。ISSの意見によって総会議案の可否が左右されることもあり、米産業界は反発していた。SECは8月21日の指針で、ISSの助言が証券取引法の委任状勧誘ルールに基づく「勧誘」に当たるとして、規制の対象になると明言した。

ISSはSECの新指針に反発していた。議決権助言会社は顧客の求めに応じて意見を述べているだけで規制の枠外にあると主張してきた経緯がある。証券取引法の規制の枠組みに位置づけられると、助言内容の決定過程に透明性が求められる。ルール違反の疑いがみつかればSECに摘発されたり、企業から提訴されたりする恐れが出てくる。企業が助言内容に口出しするようになれば、助言の独立性が揺らぐとの懸念もある。

ISSは米コロンビア特別区連邦地裁に提出した訴状の中で、SEC公表の指針は「違法」として差し止めを求めている。SECは助言会社の規制を巡って、新たな法律を制定するのではなく、解釈を明確化することで既存の証券取引法を適用する手法を選んだ。かねて米商工会議所など米産業界は助言会社への規制を強く求めており、そうした声に配慮したとの見方もくすぶる。ISSは規制適用は「恣意的だ」と主張する。

日本でも19年秋から助言会社を巡る規制論議が始まっている。金融庁は機関投資家の行動指針である「スチュワードシップ・コード」改定に向けた有識者会議で、助言会社の規制を議題に取り上げる方針を示している。日本の上場企業の間でもISSなど助言会社の意見で、機関投資家が機械的に議決権を行使することに不満の声がくすぶっていた。

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