【ジュネーブ=細川倫太郎】世界貿易機関(WTO)の第一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)は31日、米国がインドによる補助金は不当として提訴していた貿易紛争で、インドの措置はWTO協定違反にあたるとの報告書をまとめた。
パネルは、WTOが禁じる輸出補助金にはあたらないとしたインドの訴えを退け、米国の主張をおおむね認めた。WTOの紛争処理機関(DSB)でパネル判決を採択した後、90~180日以内に措置を撤回するようインドに勧告した。ただ、インドがパネルの判決を不服と判断して上訴すれば、最終審に相当するWTOの上級委員会での審理に移る。
米国はインドの経済特区や輸出促進制度は輸出補助金にあたり、インド製品が安価に輸出され、米企業との競争をゆがめていると批判していた。鉄鋼や医薬品などの産業が税金や手数料の免除を受け、年70億ドル(約7600億円)以上の利益を受けているとも指摘し、2018年3月にインドをWTOに提訴した。両国は2カ国間で協議を実施したが解決せず、パネルで審理していた。