「南シナ海」中国主導の懸念 ASEAN会議開幕
トランプ氏は欠席

2019/10/31 19:38
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【バンコク=村松洋兵】東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の関連会合が31日、タイのバンコクで開幕した。4日までに日米中なども参加する東アジア首脳会議などを開く。中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題が焦点の一つとなるが、トランプ米大統領が欠席を決めたことで議論が中国主導になるとの懸念が出ている。

ASEAN関連首脳会議には日米中なども参加するがトランプ大統領は欠席する(バンコク)=ロイター

31日は閣僚や実務者の会合を開き、2日にASEAN首脳会議、4日に東アジア首脳会議を予定する。安倍晋三首相や中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が参加するが、トランプ氏は欠席しオブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)らを派遣する。

トランプ氏の欠席は3年連続だ。多国間交渉や国際会議を嫌い、首脳との直接会談を好むトランプ氏からみれば、今回は出席する動機が乏しかった。日米貿易交渉は妥結済みで、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とは中止が決まった11月中旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で交渉する予定だった。

南シナ海では10月までにベトナムの排他的経済水域(EEZ)で中国の海洋調査船が3カ月以上活動し、ベトナムの艦船とにらみ合いになった。ベトナム政府は「主権と管轄権を侵害する行為」と反発した。ペンス米副大統領も24日の演説で「中国は南シナ海で対艦ミサイルなどを人工島に配置している」と中国の軍事拠点化を批判した。

中国とASEANは南シナ海での紛争回避に向け「行動規範」の策定を協議中だ。中国は域外国の関与を排除する内容を盛り込み、米国などの干渉を防ごうとしている。

18年の東アジア首脳会議はペンス氏が出席し、李氏を前に南シナ海の人工島埋め立てを激しく批判した。今回は格下のオブライエン氏となり発言力の低下は必至だ。タイ・チュラロンコン大学のピティ助教授は「米国がASEANを重視していない表れであり、影響力は弱まる」と指摘する。

首脳会議の議長声明案には南シナ海の中国の軍事拠点化を念頭に「懸念に留意する」との文言が含まれるが、中国やカンボジアなどの反対で表現が変わる可能性もある。

ASEAN関連首脳会議では、日中印など16カ国が年内妥結を目指す東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉も大詰めを迎える。1日に閣僚会議、4日に首脳会議を開いて協議する。

これまで約20分野のうち18分野で合意したが、関税引き下げや電子商取引のルール作りに関して溝が埋まっていない。特に対中貿易赤字の拡大を懸念するインドが関税引き下げに慎重な姿勢をみせる。

RCEPが実現すれば世界の人口の約半分、貿易額の約3割をカバーする巨大な自由貿易圏が生まれる。13年の交渉開始から約6年を経ても合意に至っておらず、今回の首脳会議で妥結できなければ20年に持ち越しになる可能性が高い。

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