英語民間試験、公平性への懸念根強く

大学
2019/10/31 18:40
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2020年度に始まる大学入学共通テストで導入される英語民間試験を巡る混乱が深まっている。受験生の居住地や家計の状況次第で受験機会に差が出る恐れが依然ぬぐえず、試験の実施概要の全容も明らかになっていない。受験に必要な「共通ID」の申し込み受け付けが1日に始まる予定だが、安定した制度運営ができるのか、懸念する声が高まっている。

英語民間試験は「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測るために活用が決まった。受験生は検定料を払って20年4~12月にいずれかを受験し、2回までの成績が各大学に提供される。

ただ「希望する時期や場所で受験できるか分からない」といった不安が噴出し、全国高等学校長協会は9月、延期を文部科学省に要望した。文科省は実施団体に11月1日までに実施概要を公表するよう要請。ベネッセコーポレーションは31日、全国161地域に受験会場を置くと発表した。

ただ、全体像は依然明らかになっていない。ある団体は「大学や民間の会場は1年以上前には借りられない」と、一部で会場の決定が遅れると明かす。「東京五輪の影響で会場確保に苦戦している」との声もある。

遠方から受験に臨む場合は交通費や宿泊費の負担が増す可能性もある。教材購入も家庭の経済状況に左右されがちだ。

こうした不安を増幅させる形になったのが、萩生田光一文科相の「身の丈に合わせて」発言だった。その後謝罪したものの、野党などは反発。政府や与党内では延期論が勢いを増した。

大学側にも消極姿勢がにじむ。成績は大学入試センターが集約して各大学に提供するが、4割の大学はこの提供システムを利用しないと決めた。利用する大学でも、中学卒業程度の水準を出願資格とするなど、事実上成績を問わない「骨抜き」の運用も目立つ。

1日には受験に必要な「共通ID」の申し込み受け付けが始まる。大学入試センターが学生ごとの成績を各大学に提供するためのもので、受験生は自分が選んだ試験を受ける際にIDを実施団体に伝える。

ただ、ある公立高校の校長は「このまま実施すれば大きなトラブルになることは目に見えている。立ち止まる最後の機会だ」と強調する。1日には大学教授らの有識者が導入延期を求める緊急声明を出す見通しだ。

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