香港経済、失速鮮明に 7~9月GDP2.9%減
前年同期比、景気後退局面入り

貿易摩擦
2019/10/31 18:29
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デモの影響で人影が少ない香港ディズニーランド(10月10日)=ロイター

デモの影響で人影が少ない香港ディズニーランド(10月10日)=ロイター

【香港=木原雄士】香港経済の失速が鮮明になってきた。香港政府は31日、7~9月期の実質域内総生産(GDP)速報値が前年同期比2.9%減だったと発表した。マイナス成長は2009年以来、10年ぶり。季節調整済み前期比は3.2%減と2期連続のマイナスで景気後退局面に入った。米中貿易摩擦や中国の景気減速に加え、長引くデモが景気の下押し圧力になった。

民間消費支出は3.5%減、建設や設備投資など固定資本形成は16.3%減、モノの輸出は7%減だった。香港政府の報道官は「社会的な問題(大規模デモ)の深刻な影響によって、状況は急激に悪化した。香港経済はテクニカルな景気後退に入った」と指摘した。

特に落ち込みが目立つのはGDPの7割弱を占める個人消費だ。8月の小売売上高は前年同月比23%減った。宝飾品や時計は47%減、薬・化粧品は30%減と、中国本土からの観光客に人気が高い品目が大きな影響を受けた。8月に香港国際空港にデモ隊が押し寄せるなど抗議活動が激しくなり、観光客の8割近くを占める中国本土客が42%減ったのが響いた。

デモはほぼ毎週末、各地で行われ、警官隊との衝突に発展するケースが多い。「いつも催涙ガスが発射され、店舗の営業もままならない」。31日、主要な経済団体と林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の会合で、雑貨店のオーナーが政府に救済策を求めた。

中小・零細企業への打撃は深刻だ。林鄭氏は「通常ではない事態が生じている。さまざまな金融支援策を用意しており、共に危機を乗り越えよう」と訴えた。

香港経済はデモの前から減速し、4~6月期の経済成長率は10年ぶりの低い伸びにとどまっていた。中国と世界を結ぶ貿易拠点として、米中摩擦で景気が減速していたところに、デモがさらなる打撃になった形だ。

政府はデモが始まる前は19年通年の成長率見通しを2~3%としていたが、8月に0~1%に下げた。林鄭氏は29日、「極めて厳しい経済状況で、通年もマイナス成長となる可能性が高い」と指摘した。通年のマイナス成長はリーマン・ショック後の09年以来となる。

HSBCやスタンダードチャータード銀行は31日、約11年ぶりに貸出金利の基準となる最優遇貸出金利(プライムレート)を引き下げると発表した。香港政府も低所得世帯への現金支給や中小企業の金融支援など景気対策を打ち出している。ただ「刺激策は痛み止めにはなるものの、効果が出るのに時間がかかる」(バンクオブアメリカ・メリルリンチ)との見方が多い。

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