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シリア内戦終結へ憲法委が初会合、ロシア主導が鮮明

【ジュネーブ=木寺もも子】シリア内戦の終結を目指し、選挙実施に向けた新憲法を起草する憲法委員会の初会合が30日、スイスのジュネーブで始まった。アサド政権と反体制派が一堂に会するのは初めて。米国はシリア撤退に傾斜しており、シリア情勢はアサド政権の後ろ盾であるロシアが主導する構図が鮮明となっている。29日にはトルコ軍と政権軍が衝突するなど、今後も曲折が予想される。

シリア内戦の終結を目指す憲法委員会の初会合が30日、スイスのジュネーブで始まった=ロイター

憲法委にはアサド政権側、反体制派、市民団体などから50人ずつの計150人が参加する。政権側が人選に異論を唱え、設立を遅らせてきたが、和平の仲介役を演出するロシア、イラン、トルコが9月下旬に開催で合意していた。

国連のペデルセン特使は28日、トルコがクルド人武装勢力排除のために侵攻したシリア北東部や反体制派が立てこもる北西部イドリブ県について言及し「真剣な政治プロセス」の必要性を強調した。

シリア内戦は2011年、中東・北アフリカに広がった「アラブの春」の民主化運動をアサド大統領が弾圧したことで始まった。50万人が死亡し、1000万人以上が国内外に避難を余儀なくされた。内戦による統治の空白は過激派組織「イスラム国」(IS)など過激派の台頭を許した。

アサド政権の要請を受けたロシアが15年に軍事介入に踏み切ると、情勢が変わった。イランの支援も受ける政権軍が支配地域を次々に奪還し、優位を固めた。

19年10月には、米軍の一部撤退をきっかけにトルコ軍がシリア北東部で越境作戦を開始した。攻撃対象は国境地帯を実効支配するクルド人武装勢力主体の「シリア民主軍」(SDF)で、米軍に見捨てられた形となったSDFは緊張関係にあったアサド政権への接近を余儀なくされた。

ロシアとトルコは22日の首脳会談で国境沿いからのSDF退去や両国による共同パトロールを条件に停戦で合意。SDFにかわってアサド政権軍が一帯の主要都市や基地に進駐した。停戦合意の期限だった29日、ロシアはSDFの退去が完了したと宣言した。

ロシアはシリア情勢の仕切り役として立場を誇示するが、課題も山積する。29日にはアサド政権軍とトルコ軍の間で戦闘が発生し、少なくとも政権側の兵士6人が死亡した。内戦終結後の立場を少しでも有利にしようと動く各主体を抑えこむのは容易ではない。

資金の確保も課題だ。荒廃した国土の再建には数十兆円規模の資金が必要とされるが、経済が低迷するロシアやイランには負担能力も意思もない。欧米は人権侵害を繰り返すアサド政権を制裁対象としており、現状のままでは援助を引き出す望みは薄い。

ジュネーブで始まった憲法委も、具体的な議題や協議の進行方法さえ決まっていないのが現実だ。意思決定には75%以上の賛成が必要とされる。

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