福島県郡山市の阿武隈川、最後の「未整備地域」が氾濫

台風19号
2019/10/31 6:00
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台風19号による阿武隈川とその支流の氾濫で福島県郡山市で1400ヘクタールを超す地域が浸水した。最も大きな被害を生んだのは市南部の御代田地区の氾濫だ。ここは市内の国の堤防建設計画のなかで最後まで未整備のまま残った部分で、国が用地買収に着手した矢先のことだった。

阿武隈川の堤防未整備地域(福島県郡山市の永徳橋から)

阿武隈川の堤防未整備地域(福島県郡山市の永徳橋から)

「国に繰り返し早期整備を要望していたが間に合わなかった」。郡山市の品川萬里市長は落胆する。

堤防が未整備だったのは福島県須賀川市に近い御代田橋の川上から9月に開通した笹川大橋までの阿武隈川右岸約1.2キロ。川の流れでできた段丘や樹木に覆われた丘などが続いている。

国は2016年に住民説明会を開き、最近になって一部の用地買収を始めたばかり。計画では川の水位の限界となる計画高(けいかくこう)水位からさらに1.2メートル余裕を持った堤防をつくる予定だった。

今回は「百年に一度」といわれる豪雨だったため、たとえ堤防が完成していても一時的に20~30センチの氾濫が起きた可能性が指摘されている。しかし、それでも氾濫の高さを1.5~2メートル抑制できた計算だ。

堤防の未整備地域からあふれた大量の水は戦後開発された阿武隈川東側の市街地に流れ込んだ。

一帯には約150社が立地する郡山中央工業団地のほか日本大学工学部、日本大学東北高校、帝京安積高校などの教育機関が立地する。その周辺に広がる住宅街も含め場所によっては大人の背丈を超す高さまで浸水するなど大きな被害が出た。

阿武隈川は延長230キロ余りで源流の福島県の白河地方から仙台平野に向かって流れる。国は河川法に基づき、おおむね30年間を見通した河川整備計画をつくり、段階的に堤防の整備を進めている。

河川の整備は水を海へスムーズに流すため川下を優先して実施するのが基本とされる。さらに阿武隈川の場合、東日本大震災で河口部の堤防が損壊したり、津波の遡上対策が必要になったりしたため、震災後に川下を強化する形で整備計画を見直した経緯がある。

18年11月に開かれた整備計画のフォローアップ委員会では須賀川市や郡山市など上流部の堤防整備の遅れが目立つため、整備に力を入れていく方針が示されたばかりだった。

治水事業は市民の生命や財産に直接かかわるうえ、異常気象による予想外の降雨が頻発している。水害対策を着実に進める必要性が従来にも増して高まっている。

(郡山支局長 村田和彦)

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