神戸産官学がバイオバンク、医療産業都市に新機能

2019/10/31 6:30
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血液検査機器大手シスメックスと神戸大学、神戸市は30日、社団法人を設立し創薬や医学研究のためにヒトの血液や組織を保管するバイオバンクを共同運営すると発表した。国内最大級の医療クラスター(集積地)である神戸医療産業都市にこれまでなかった機能で、製薬会社などが使いやすい形を目指す。企業や研究機関をさらに呼び込む役割も期待される。

「バイオリソースセンター」が入る神戸大の国際がん医療・研究センター(神戸市)

神戸医療産業都市にある神戸大の国際がん医療・研究センター内の施設「バイオリソースセンター」に設置する。社団法人「バイオリソース・イノベーション・ハブ・イン・神戸」の新設に際しシスメックスが全額出資し、代表理事には同社の辻本研二技術戦略本部長が就いた。

「研究開発のニーズによっては1万程度の生体試料が集まる」(辻本氏)見込みだが、重視するのは質だ。既存のバイオバンクは生体試料に既往歴などの情報が付いておらず、使いにくいケースが多いという。神戸大によれば、一般にバイオバンクは試料の利用率が全体の数%程度という。

必要な情報をひもづけた試料をそろえ「ためることに主眼に置かず、利用率を高める」(バイオリソースセンターの松岡広・副センター長)。将来的には100%近い利用率を目指す。グローバルで開発競争が激しくなる中、病気の発症過程を時系列で追えれば医療開発で強みになる。

神戸大は製薬企業などとの共同研究を通じて一定の成果が出れば、収益が期待できる。既に数社から共同研究の話があるといい、年間で数十以上の企業との共同研究を目指す。武田広学長は「医療・創薬の革新に貢献できる」と意気込む。

神戸市も社団法人の理事に加わり運営を後押しする。医療産業都市には関連する363社・団体が集積。寺崎秀俊副市長は同日、「創薬や診断技術の開発で大きな武器ができた」と強調し、神戸商工会議所会頭として会見したシスメックスの家次恒会長兼社長は「医療の研究開発を加速できるインフラが整った。ヘルスケアを神戸を代表とする産業にしたい」と力を込めた。(沖永翔也)

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