千葉財務事務所は30日発表した千葉県内の経済情勢で、10月時点の総括判断を「緩やかに回復しつつある」とし、前回(2019年7月)の判断を据え置いた。11期連続の据え置きとなった。ただ生産活動の下方修正を受け「一部に弱い動きがみられる」との表現を4月以来2期ぶりに使い、景気の先行きに懸念も示した。
総括判断のもとになる8項目のうち、生産活動は「持ち直しに向けたテンポが緩やかになっている」と下方修正した。米中貿易摩擦による海外経済の減速を背景に、化学や汎用・業務用機械などで生産指数が下がったことに加え、9月の台風15号で化学や鉄鋼など県内製造業が大きな被害を受けたことを反映した。
個人消費は「緩やかに持ち直しつつある」との判断を維持した。百貨店・スーパー販売額は前年を下回った一方、コンビニエンスストア販売額や乗用車の新車登録届け出台数は前年を上回った。財務事務所の聞き取りでは「増税前の駆け込みや新型車投入効果で、新車届出台数は前年を大幅に上回っている」(中堅自動車販売)との声があった。
住宅建設は「前年を上回っている」として前回判断から上方修正。一方、公共事業は「前年を下回っている」と下方修正した。雇用情勢や設備投資など5項目は判断を据え置いた。
先行きについては「雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復が続くことが期待される」とした。大島朗所長は台風や相次ぐ自然災害について触れ、「被害の全容を把握するのは難しい。引き続き情報収集しながら県内経済に与える影響に十分留意する必要がある」と指摘している。