英、12月12日総選挙 下院可決、国民にEU離脱問う

英EU離脱
2019/10/30 5:25 (2019/10/30 8:29更新)
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29日、英議会下院で演説したジョンソン首相(ロンドン)=AP

29日、英議会下院で演説したジョンソン首相(ロンドン)=AP

【ロンドン=篠崎健太】英議会下院は29日、総選挙を12月12日に前倒しで行う特例法案を賛成多数で可決した。ジョンソン首相が欧州連合(EU)離脱への国民の信を問うために提案し、野党議員の一部も賛成に回った。与党・保守党は総選挙で過半数の議席を取り戻したうえで、EU離脱を確実にしたい考えだ。離脱をめぐる泥沼からの脱却へ、国民の審判を仰ぐことになった。

法案は賛成438票、反対20票で可決した。最大野党の労働党が「合意なき離脱が取り除かれた」として、EUが10月末からの離脱延期を認めたことを口実に賛成に転じた。上院でも近く可決される見通しで、エリザベス女王の裁可を経て総選挙実施が確定する。

英下院は2011年成立の議会任期固定法で、5年間の任期満了前の総選挙には全議員(定数650)の3分の2の同意が要る。ジョンソン氏は「10月末離脱」を阻む野党への対抗策として総選挙を求めてきたが、合意なき離脱のリスクが残るとして労働党などが拒み、解散動議は28日に3度目の否決を受けていた。

そこでジョンソン氏は、過半数の賛成で通せる特例法で総選挙を行う戦術を採った。法案の採決では保守党や閣外協力する民主統一党(DUP)に加え、労働党議員の5割強が賛成票を投じた。早期の総選挙には前向きながら12月9日の実施を求めていた自由民主党やスコットランド民族党(SNP)は棄権した。

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実施が固まった総選挙は、新たな協定案に基づくEU離脱の是非が最大の争点となる。

ジョンソン氏は法案の可決後、英メディアに「今こそ英国が団結してEU離脱を実現する時だ」と訴えた。保守党の現有勢力は298人(29日に復帰した10人を含む)と過半数を割っている。新離脱案をまとめた実行力をアピールし、総選挙で過半数を獲得し、議会の主導権を取り戻したうえで離脱関連法案を通したい考えだ。

一方、野党側はEU離脱をめぐる「事実上の再国民投票」と位置づけている。残留派やジョンソン政権の離脱方針に懐疑的な有権者に支持を呼びかけ、離脱条件の修正や離脱そのものの撤回につなげたい考えだ。自由民主党やSNPは残留を主張し、労働党はEUの関税同盟への残留などを掲げている。

各種の世論調査では保守党が優勢だ。英調査会社ユーガブが想定する投票先を聞いた直近24~25日の調査によると、保守党は36%で、2位の労働党(23%)や3位の自由民主党(18%)を大きく引き離している。英総選挙は全650の各選挙区で、得票数が最も多い候補者が当選する単純小選挙区制で行われる。

EUは29日、英国の離脱期限を最長で20年1月末まで延ばす手続きを正式に終えた。ジョンソン氏が一貫して掲げてきた「10月末離脱」は議会に阻まれたが、総選挙で保守党が過半数を確保できれば、新協定案に基づく離脱を固められる。16年6月の国民投票から3年超にわたり迷走してきたEU離脱は最大の節目を迎える。

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