IAEAの次期事務局長にグロッシ氏、アルゼンチン大使

2019/10/29 22:03
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【ジュネーブ=細川倫太郎】国際原子力機関(IAEA)は29日、次期事務局長に在ウィーン国際機関アルゼンチン代表部のラファエル・グロッシ大使(58)を選出した。理事国による投票で当選に必要な3分の2以上の票を獲得した。「核の番人」のトップとしてイラン問題や北朝鮮の非核化など山積する課題に取り組む。

グロッシ氏は前体制からの変革も主張している=AP

今回の事務局長選は、7月に任期途中で天野之弥前事務局長が死去したことを受け実施した。35の理事国が投票を行い、外交筋によると、グロッシ氏は24票得票した。米国や南米諸国がグロッシ氏を支持したもようだ。年内に開く特別総会での承認を経て、次期事務局長に就任する。南米出身者が事務局長に就くのは初めて。任期は4年。

29日に記者会見したグロッシ氏は「IAEAの仕事は平和と安全に不可欠だ。すべてのメンバーとスタッフと協力する準備はできている」と語った。イラン問題については「独立して公平に取り組む」などと話した。

グロッシ氏は軍縮や不拡散の専門家。アルゼンチン外務省入省後、化学兵器禁止機関(OPCW)やIAEAで勤務した。IAEAでは天野前事務局長の下で官房長を務めたこともある。来春に予定される核拡散防止条約(NPT)再検討会議の議長を務めることになっているが、事務局長への選出を受けて辞退するとみられる。

グロッシ氏は核物質の保有国が軍事に転用しないように点検する「保障措置」の重要性を強調し、イランへの査察は引き続き厳格に実施する方針を示している。天野氏が尽力した原子力技術の医療・農業分野への応用や、女性職員の積極登用も掲げている。

IAEAを取り巻く環境は厳しい。イランと米英独仏中ロの6カ国が2015年に結んだ核合意は崩壊の瀬戸際にある。北朝鮮問題でIAEAは09年に査察官が追放されてから現地に入れず、非核化は停滞している。核軍縮や核兵器の拡散防止が揺らぐ中で、グロッシ氏はすぐに難しい課題に直面することになる。

今回の事務局長選には4人が立候補した。IAEAは通常、約一年かけて事務局長を選ぶが、多くの懸案を抱えるなかでのトップ不在は回避すべきだとの声が高まり、10月末までに選出することを決めていた。

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