物価上昇、増税後も停滞 10月都区部

2019/10/29 20:00
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10月1日に消費税率が上がった後も物価の動きが停滞している。総務省が29日発表した10月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.5%の上昇と、増税前の9月から横ばい。増税による押し上げを除くと、2年3カ月ぶりの低い伸びだった。急な物価上昇を避けられたのは家計の助けだが、景気の減速で企業が値上げをためらう姿も浮かぶ。

消費者物価指数は税込みのモノやサービスの価格から算出する。消費税引き上げ分が価格に上乗せされれば、その分だけ指数は上がる。現金を使わないキャッシュレス決済による還元は指数には反映しない。消費税が5%から8%に上がったときは、2014年4月の都区部CPIは前年比2.7%上がった。

今回は2%分の増税だが、飲食料品への軽減税率の導入や幼児教育・保育無償化などが物価の伸びを抑えている。経過措置のある光熱費や水道費の税率が上がるのは11月以降だ。総務省によると10月の物価上昇への増税の寄与度は0.72%分にとどまる。教育の無償化は全体として0.55%分のマイナス寄与で、強い下押し圧力になった。

足元ではエネルギー価格が下がり、物価を下押ししている。10月は電気代が前年比1.2%下がり、都市ガス代はマイナス幅が9月の0.1%から1.5%まで拡大した。携帯電話通信料は10月に5.0%下がった。

結果として増税関連の影響を除いた10月の物価上昇率は0.34%で、17年7月以来2年3カ月ぶりの低水準だった。4月に1.3%になった後は右肩下がりで、日銀が物価安定目標に掲げる2%は遠のいている。

増税後の物価上昇の鈍さは、消費低迷による景気の底割れを避けたい政府にとっては、一定の政策効果が出ているとみることができる。価格転嫁も前回の増税時は原則一律に求めたのに対し、今回は実質的な価格据え置きを容認している。

ただ、物価上昇の鈍さは消費の基調の弱さを映している可能性がある。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「そもそも需要が弱い」と指摘する。分野別にみると、家電を含む家庭用耐久財の上昇率は9月の10.7%から4.9%まで下がった。

ビックカメラでは10月に入り、冷蔵庫や洗濯機、テレビなど駆け込みで伸びた商品の販売額が前年同月比で2割前後減った。ドラッグストアではトイレットペーパーなどの日用品や、化粧品が苦戦する店舗が多い。首都圏地盤の業界大手は「想像より9月までの駆け込みが大きく、反動減が出ている。価格を上げづらい状況だ」という。

物価の伸び悩みはデフレ脱却を目指す政府・日銀には好ましくない。西村康稔経済財政・再生相は29日の閣議後の記者会見で「消費者物価の基調はきめ細かくみていきたい」と物価の推移を注視する考えを示した。一方で賃上げの動きなどを念頭に「デフレ脱却に向けた改善は続いている」とも述べた。

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