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なぜACLの決勝に? J1残留争いの浦和
サッカージャーナリスト 大住良之

2019/10/31 3:00
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浦和レッズがアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で決勝進出を果たした。

決勝進出を決め、サポーターの歓声に応える槙野(左端)ら浦和イレブン=共同

決勝進出を決め、サポーターの歓声に応える槙野(左端)ら浦和イレブン=共同

準決勝で中国の広州恒大と対戦した浦和は、10月2日のホームゲームを2-0で快勝。23日に広州の天河体育中心体育場に乗り込むと、堅固な守備で相手の攻撃をはね返し、50分に右MFの橋岡大樹が見事な突破からクロス、これをエースのFW興梠慎三が鮮やかなヘディングでたたき込んで2試合合計スコアを3-0とした。

浦和にとっては2回目の優勝を飾った2017年以来2年ぶり3回目の決勝進出。相手は2年前とまったく同じサウジアラビアのアルヒラルだ。決勝戦の第1戦は11月9日にリヤドで、第2戦は24日に埼玉スタジアムで行われる。

7月末~9月、リーグ戦8試合白星なし

だがこの浦和、Jリーグでは思いがけない苦境に陥っている。第29節終了時で勝ち点35の12位。順位からすれば「中位」と言ってもいいが、「入れ替え戦圏(16位)」の湘南ベルマーレ(勝ち点31)とはわずか勝ち点で4差、「自動降格圏(17位)」の松本山雅(勝ち点29)とも6差しかないのだ。

今季の浦和は、5月末にオズワルド・オリベイラ監督から大槻毅監督に指揮官が交代。しかしJリーグではその後も苦戦が続いた。そして7月末から9月いっぱいにかけて8戦勝利なし(5分け3敗)という状況に陥り、残留争いに巻き込まれた。10月6日の清水エスパルス戦でようやく78日ぶりの勝利をつかんだが、18日にはホームで大分トリニータに敗れ、苦境からの脱出はならなかった。

ホームで大分に敗れ肩を落とす浦和イレブン=共同

ホームで大分に敗れ肩を落とす浦和イレブン=共同

一方、この間に、浦和はACLの決勝トーナメントで次々と勝ち進んだのである。

今季のACL、大槻監督の下では、決勝トーナメント1回戦(対蔚山現代=韓国)、準々決勝(対上海上港=中国)、準決勝(対広州恒大)を戦ってきたが、その初戦、蔚山現代とのホームゲームを落としたほかは、3勝2分けという好成績。蔚山現代とのアウェー第2戦では、3-0で快勝して早くも「浦和強し」を印象づけた。

元ブラジル代表のFWフッキとMFオスカルを擁する上海上港には、アウェーで2-2、ホームで1-1の2戦2分けだったが「アウェーゴール」で勝り、広州恒大には2試合合計3-0で完勝。ちなみに、広州恒大は中国スーパーリーグで首位、上海上港は2位。さらに浦和がグループリーグで3-0と快勝した北京国安は3位で、中国では現在この3チームで優勝争いが展開されている。韓国のKリーグでも、蔚山現代が首位を走っている。

上海上港(白いユニホーム)は元ブラジル代表も擁する強豪だが…=共同

上海上港(白いユニホーム)は元ブラジル代表も擁する強豪だが…=共同

なぜJリーグで苦しむ浦和が、ACLでは中国や韓国のトップチームを相手に試合内容・結果とも満足行く試合ができているのだろうか。

Jリーグのレベルが韓国のKリーグや中国のスーパーリーグよりはるかに高いというわけではない。今季のACLのグループステージではE~Hの4組(1組4チーム)の各組に日中韓の3カ国から1チームずつがはいったが、3カ国のチーム同士の対戦成績は、(1)韓国(勝ち点26)、(2)日本(22)、(3)中国(19)という順だった。

相手分析が大ざっぱな海外リーグ勢

だが、Jリーグでは対戦相手を詳細に分析し、その対応策を徹底して試合に臨んでいるのに対し、中国や韓国のクラブは非常に大ざっぱということは言えるだろう。

たとえば、浦和のエース興梠は今季ACLで対戦したすべての中国・韓国チームから得点を挙げており、その7得点が決勝進出の大きなカギとなっているが、韓国や中国のチームは、興梠を要注意と認識しながらも、その得点パターンや得意な形に対する分析や意識は徹底されていなかったように思える。

広州恒大とのアウェーゲームで決めた決勝点、右の橋岡のクロスに合わせて決めたヘディングとまったく「同パターン」と言っていいシュートを、彼は決勝トーナメント1回戦の蔚山現代戦でも、準々決勝の上海上港戦でも決めているのだ。

浦和―広州恒大戦。先制ゴールを決め駆けだす浦和・興梠=共同

浦和―広州恒大戦。先制ゴールを決め駆けだす浦和・興梠=共同

サイドを突破した選手に対し、興梠はまずファーポスト側に離れるように動く。そして彼をマークする相手DFの視野から消えた後、クロスのタイミングに合わせて突然相手DFよりボール側に走り出てヘディングシュートを決める。興梠は身長175センチ。けっして大柄ではないが、この巧妙な動きで相手を無力化してしまう。「興梠スペシャル」とも言うべきヘディングシュートに対し、韓国や中国のチームがまったくノーマークだったのは、Jリーグクラブの監督たちには理解し難いところかもしれない。

加えて、Jリーグでの浦和は「勝たなければならない」というプレッシャーに縛られて思い切りが悪くなっていることが多いが、ACLでは完全に「チャレンジャー」の姿勢となり、攻守に積極果敢なプレーを見せることも挙げられるかもしれない。浦和の選手たちの相手に対する寄せの速さと球際の強さは、ACLでは際だっている。

決勝で当たるアルヒラルは、2年前とは大きく変わり、フランス代表FWゴミスとイタリア代表FWジョビンコを擁する破壊的な攻撃力が売り物のチーム。「2つの顔」をもつ浦和だが、決勝戦では、これまでのACLの戦いで見せてきた「強い浦和」の姿を存分に見せてほしいものだ。

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