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闘争心むき出しのタイガー、日本初開催の米ツアーでV
編集委員 吉良幸雄

2019/10/30 3:00
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タイガー・ウッズ(米国)には、常識では計り知れない能力が宿っている。改めてそう思わせる日本での1週間だった。日米共催の形をとり、国内で初めて開催された米PGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(千葉・アコーディア習志野CC)の初代王者に輝き、1965年にサム・スニードが刻んだ最多勝記録「82」に並んだ。8月に左膝の再手術を行ってから、初めての試合にもかかわらず、5日間にわたって首位を走り続けたのだから驚くほかない。

今回の優勝でタイガー・ウッズは米ツアー史上最多の通算82勝に並んだ=共同

今回の優勝でタイガー・ウッズは米ツアー史上最多の通算82勝に並んだ=共同

3連続ボギーから「タイガー・イズ・バック」

来日後、21日に松山英樹らと「スキンズマッチ」を行い、23日はプロアマ戦に参加した。初日、スタートの10番から3連続ボギーをたたいてからの鮮やかな「タイガー・イズ・バック」だ。大雨の影響で第2日が中止となり、27日の日曜日に第3ラウンドと第4ラウンドの11番まで計29ホールもプレーしながら6打伸ばし、勝利へ前進。28日の表彰式の最中に腰を伸ばすしぐさを見せるなど、43歳の体には長丁場のラウンドが相当こたえていただろうに、優勝トロフィーをつかみとった。

ZOZOチャンピオンシップを前に記者会見するウッズ(右から2人目)、マキロイ(同3人目)ら=共同

ZOZOチャンピオンシップを前に記者会見するウッズ(右から2人目)、マキロイ(同3人目)ら=共同

2008年全米オープン(トーリーパインズGC)で、サドンデスのプレーオフにまでもつれ込んだ91ホールの死闘の末、ロッコ・ミーディエートを下し、メジャー通算14勝目をマークした。左膝の痛みに顔をゆがめながら戦い抜いた雄姿は、目に焼き付いている。ただ、メジャー4大会で全て3勝をマークする「トリプルグランドスラム」達成の代償は大きく、左膝の再手術を余儀なくされ、しばらく戦列から離れた。その後、米ツアーで優勝を重ねたもののメジャー大会では敗北が続く。私生活では不倫スキャンダル、2年前には投薬の影響で路上で職務質問を受け逮捕された。無精ひげを生やした指名手配犯のような姿は、ゴルフ界に衝撃を与えた。

「タイガーはもう勝てないのでは? 選手生命は終わりか」ともささやかれた。数々の逆境をはねかえしての昨秋のツアー選手権の優勝、そして今春のマスターズで5度目の大会制覇、11年ぶりのメジャータイトルをつかみとった。マスターズ後の全米プロ、全米オープン、全英オープンは不振で、「燃え尽き症候群」ではと言われながら、今回の優勝だ。不屈の虎はまたもやよみがえった。

ウッズは米ツアーにない芝への適応能力も抜群だった=共同

ウッズは米ツアーにない芝への適応能力も抜群だった=共同

20年ぶりに観客2万人突破

今大会ではショットを曲げてクラブをたたきつけるシーンも何度か見られた。マナー違反と言うまい。たけだけしい闘争本能が43歳を支えている。習志野CCは7041ヤード(パー70)とコース距離が短かったのは、全盛期のような飛距離のアドバンテージはない今のウッズに味方しただろう。雨の影響でグリーンが止まり、得意のアイアンショットもさえ渡った。フェアウエーキープ率は55.77%(24位)にとどまったが、パーオン率77.78%は出場選手中トップ。平均パット数も1位だ。世界を渡り歩く歴戦のつわものだけに、米ツアーにはないラフやフェアウエーの高麗芝、野芝にも適応能力は抜群だった。

初日47位と出遅れながら巻き返し、3位に食い込んだメジャー4勝のロリー・マキロイ(英国)はウッズの数々の偉業を「彼のやってることは信じられない。他の人は誰も、かなわないと思っている夢、それを彼はかなうと信じてやってきた。そしてまた、それをやってのけた」と称賛する。超人ウッズには、スニードを超える83勝、そしてニクラウスのメジャー最多記録(18勝)への挑戦が大きなモチベーションになっている。自らも腰痛を乗り越え復活優勝を果たした石川遼も「20代からトレーニングを積み重ねた(頑丈な)体があるから、あれだけの技術を引き出せる」と話す。

悪天候にたたられたものの、多くのギャラリーが詰めかけた=共同

悪天候にたたられたものの、多くのギャラリーが詰めかけた=共同

初日からのウッズ、松山の活躍があり、27日にはギャラリー数が2万2678人と、99年フィリップモリス選手権(兵庫・ABCGC)最終日以来、20年ぶりに2万人を突破した。男子ツアーに潜在的なファンがまだまだいる証左といったら楽観的すぎるか。悪天候にたたられ、コース周辺の交通渋滞など運営面で課題は残したものの、ウッズの歴史的な優勝で大会は成功裏に終わったと言っていいだろう。主催者との契約は6年間で、来年もディフェンディングチャンピオンとしてやって来る予定。第2ラウンドが無観客試合となり、会場で観戦できなかったファンにも、生でウッズを見る望みをつないだ。

賞金ランク3位の石川ら、日本ツアー勢は歯が立たなかった=共同

賞金ランク3位の石川ら、日本ツアー勢は歯が立たなかった=共同

日本ツアー勢最高はチャン・キムの41位

ところで、日本人選手で松山に次ぐ順位は、米ツアーに参戦している小平智の37位だった。ウッズやマキロイ、5位に入った今年の全米オープン覇者ゲーリー・ウッドランド(米国)ら米ツアーのトップ選手の実力を目の当たりにする一方、日本ツアー勢は結局、優勝争いどころか上位争いからも蚊帳の外。賞金ランク2位の今平周吾は59位、同3位の石川は51位に終わった。日本ツアーから出場資格を獲得した選手で最高位は、前週の日本オープンを制し、目下ランク1位のチャン・キム(米国)の41位。各選手とも連戦で疲労がたまり本調子でなかったにしても、ちょっと寂しい。

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