ドイツ極右躍進、過激化に懸念 二大政党は退潮

ドイツ政局
2019/10/28 16:58
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【ベルリン=石川潤】ドイツ東部、チューリンゲンで27日投開票された州議会選挙で、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が前回2014年の2倍を超える約23%の得票で第2党に躍進した。選挙戦を率いたヘッケ氏はAfDの中でも歴史修正主義と受け取られかねない発言で知られる人物で、今回の勝利をきっかけに党が一段と過激化する恐れもある。

極右AfDの選挙戦を率いたヘッケ氏(右)=ロイター

「AfDは全ドイツの国民政党になろうとしている」。ヘッケ氏は27日夜、チューリンゲンの州都エアフルトで支持者に向けて勝利宣言した。同日の選挙では旧共産党の流れをくむ左派党が第1党になる一方、ドイツ再統一後第1党を守り続けてきたメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)が第3党に後退。もう一つの二大政党、ドイツ社会民主党(SPD)は第4党に沈んだ。

旧東独ではメルケル政権の移民政策への批判が強いうえ、自分たちが「2等市民」扱いされているとの不満がくすぶる。既存政党が自分たちの利益を代表していないと感じる有権者をAfDが巧みに取り込んだ。

公共放送ARDの分析によると、AfDはCDUなどの既存政党から票を奪うだけでなく、これまで投票していなかった有権者の票をそれ以上に取り込んだ。政治に失望していた層が新たな「変革」を訴えるAfDに引き寄せられた形だ。

党の過激化も進みかねない。ヘッケ氏は党の中でも最右翼のリーダーで、17年にはベルリンの中心部に建つホロコーストの記念碑を「恥辱の記念碑」と呼んで批判を浴びた危険人物だ。インタビューでヒトラーの絶対悪を否定したと報じられたこともある。今回の勝利で影響力が一段と強まるのは避けられない。

右傾化に対する警戒はドイツ国内でなかなか高まらない。独東部の都市、ハレでは9日、反ユダヤ主義とみられる武装したドイツ人の男がシナゴーグ(ユダヤ教会堂)を襲い、周辺で2人を射殺する事件があった。極右勢力への警戒が広がってもおかしくない状況だったが、AfDの躍進に歯止めは掛からなかった。

19年には旧東独で3つの州議会選挙が実施され、AfDはいずれも2割を超える票を獲得し、第2党となった。旧西独ではまだ支持に広がりを欠くが、最近の選挙戦では「極右対既存政党」の構図が定着している。既存政党のAfD批判が、AfDが既存政党に対抗する唯一の存在だという同党の主張を裏付けてしまう難しさもある。

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