FRB、3連続利下げ検討 残る異論、市場・政権は包囲網

2019/10/28 16:19
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は29~30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、3会合連続の利下げを検討する。貿易戦争によって米企業の景況感が大きく悪化しているためだ。ただ、米経済はなお潜在成長率を上回る伸びが続いており、内部には利下げに強い反対論もある。政権と市場は追加緩和へ圧力を強めるが、会合では異論も相次ぎそうだ。

FOMCが利下げに踏み切れば、7月、9月に次ぐ3会合連続の金融緩和となる。利下げ幅は0.25%が有力で、政策金利は1.50~1.75%まで下がる。米経済は拡大局面が過去最長の11年目に突入したが、貿易戦争による企業心理の悪化が鮮明で、景気の失速を避ける「予防的利下げ」(パウエル議長)と位置づけている。

FRB高官は「米経済は明白なリスクに直面している」(クラリダ副議長)などと警戒感を表明しており、先物市場は既に9割の確率で追加利下げを織り込んでいる。米サプライマネジメント協会(ISM)が調査する米製造業の景況感指数は、9月に10年ぶりの水準まで悪化し、2カ月連続で「不況」の水準にある。パウエル議長も8日の講演で「成長持続へ適切に行動する」と表明し、市場の利下げ観測を事実上追認している。

もっとも、FOMC内には利下げに根強い反対論がある。失業率は3.5%と50年ぶりの水準まで下がっており「現時点で政策対応は必要ない」(カンザスシティー連銀のジョージ総裁)。7月、9月の会合ではジョージ氏を含め2人が利下げに反対票を投じており、今回も追加緩和に異論が根強く残りそうだ。

そのため、29~30日の会合で利下げを決断しても、その後は金融政策の変更を当面見送る可能性がある。FRBは1998年にもグリーンスパン議長体制時に「予防的利下げ」と位置づけて、小幅な金融緩和に踏み切ったが、利下げ幅は合計で0.75%だった。足元では低格付け債などの発行で企業債務が金融危機時並みに膨張しており「利下げは金融不均衡を助長する」(ボストン連銀のローゼングレン総裁)との不安もある。

FRBの懸念材料は、催促相場の様相を強める市場よりも、ホワイトハウスで渦巻く強硬論にありそうだ。トランプ米大統領は24日にも「FRBがさらなる景気刺激策を講じなければ職務怠慢だ」と表明し、利下げを露骨に要求した。同大統領はゼロ金利政策や量的緩和政策まで要求しており、パウエル体制が主張する「予防的利下げ」だけでは納得しそうにない。

トランプ氏の支持層である中西部などの製造業労働者は、雇用環境が不安定になってきた。大統領選の激戦州であるペンシルベニア州やウィスコンシン州では、製造業は就業者数が減少に転じており、トランプ氏の再選に明白な逆風となる。製造業の下振れリスクはトランプ氏が仕掛けた貿易戦争が主因だが、ホワイトハウスは景気下支えへFRBへの圧力を弱める気配はない。

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