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同世代へのライバル心を糧に 大相撲・朝乃山(上)

2横綱、1大関が不在だった9月の大相撲秋場所。13日目を終えた時点で1差に9人がひしめく団子状態の賜杯争いを盛り上げたのは、20代半ばの若手力士たちだった。最後は3敗で並んだ26歳の御嶽海が23歳の貴景勝を優勝決定戦で下し、2度目の賜杯を抱いた。

両関脇のライバル対決を悔しさと共に見つめた若手がもう1人いる。25歳の朝乃山だ。西前頭2枚目として自身2度目の上位総当たりとなったこの場所は、10日目にトップタイに並んだものの、11、12日目に連敗。10勝を挙げて殊勲賞を獲得したが、優勝には星2つ足りなかった。「何か肌で感じたものが絶対ある。それを忘れずいっそう稽古に励みたい」と巻き返しを胸に刻んだ15日間だった。

秋場所では10勝を挙げて殊勲賞を獲得したが、優勝には星2つ足りなかった

白鵬、鶴竜の両横綱の往時の強さが薄れ、角界には世代交代の風が吹く。今年はここまでの5場所で優勝力士が変わっている。そんな下克上の土俵で、朝乃山も主役の1人となった。5月の夏場所。令和最初の本場所で三役経験のない平幕として58年ぶりの優勝を果たし、トランプ米大統領から「米大統領杯」を受け取ったのは記憶に新しい。

身長188センチ、体重171キロの恵まれた巨体を生かした四つ相撲は、突如脚光を浴びた。左上手を取れば無類の強さを発揮した。ハイライトは14日目の大関豪栄道戦。大関に左上手を許す苦しい展開だったが、悪癖の苦し紛れの投げを封印。最後は体を入れ替えて堂々と寄り切った。

2017年秋場所で新入幕を果たし、ここまで敢闘賞3回、殊勲賞2回を受賞し、金星は1つ。突き押し相撲が増える中、前に出る攻撃的な四つ相撲で相手を圧倒する姿は存在感がある。本人いわく、春巡業で同じ型を持つ大関栃ノ心と胸を合わせた経験が大きいという。「立ち合いの当たり方や上手の取り方、肌で感じることができた」。栃ノ心には夏場所から"恩返し"の3連勝となっている。

令和の看板力士の座、虎視眈々と

御嶽海は1年、貴景勝は1年半、朝乃山より初土俵が早い。幕内優勝も御嶽海は昨年7月、貴景勝は昨年11月と常に前を進んでいる。「まだ追い付いていないけど、2人が上にいるおかげで自分も頑張れる。負けたくない相手です」と朝乃山は言い切る。

「相撲の取り方が変わった」と師匠の高砂親方(元大関朝潮)も成長を認める。「今までは当たった後何もしていなかったけど(5月からは)右四つの形を作れている」

我先にと出世を争う若手の中で、朝乃山も負けじと稽古に明け暮れる。虎視眈々(たんたん)と令和の看板力士の座を狙っている。=敬称略

(田原悠太郎)

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