住友商事会長「自動車や金融、業界の線引きなくなる」

住友商事の中村邦晴会長は28日、第21回日経フォーラム「世界経営者会議」で講演した。自動車業界で自動運転や電動化といった次世代技術が広がっていることを例に挙げ、「自動車、鉄鋼、金融など業界間の線引きがなくなっていく」と話し、「互いに融合し合うことがシナジーを生み、産業転換を促す」と話した。
配車システムの米ウーバーテクノロジーズを例に、かつての自動車業界から出てきたわけではない異業種参入のビジネスが世界を席巻していると説明。「AIやIoTを使った技術の進歩で、人々の求めを解決していくことがビジネスになっていく。支持をする人がいるから経済原則として成り立っていく」と話した。
IT(情報技術)の発展が既存産業の様々な変革を促す動きは「第4次産業革命」とも呼ばれる。中村氏はこうした変革が世界的に起こっているとする一方、一部の国で自国第一主義や保護主義が勢力を強めていることを指摘。「自国第一主義が台頭する中で、(産業の変革の動きに)どう影響していくのかを危惧している」と警鐘を鳴らした。
5Gやモビリティー、電子マネーといった新技術は社会に飛躍的に浸透していくとした上で「世界ははるかに進んでおり、日本は取り残される可能性がある。変えていかなくてはならない」と警鐘を鳴らす。
現代の企業は社員や株主のために利益を追求する産業界としての課題と、持続可能な開発目標(SDGs)など社会の課題の両方を同時に解決していかなければならず、「どうやって社会と共生し、社会とともに成長するか」を考えることができる人が現代のリーダーにふさわしいと説いた。
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