台湾、中国客6割減 9月、個人・団体客とも
総統選へ圧力、反発で逆効果も

2019/10/27 16:39
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【台北=伊原健作】中国大陸から台湾を訪れる観光客が激減している。中国は8月に台湾への個人旅行の停止を打ち出したが、団体客も同時に急減。9月の中国客数は前年同月に比べ6割近く減った。来年1月の台湾総統選で、独立志向を持つ民主進歩党(民進党)の蔡英文総統の再選を阻むべく圧力を強めるが、台湾では強引な圧力への反発も出ており、逆効果になる可能性もある。

中国大陸からの観光客が減っている(9日、台湾北部の観光地、九份)

台湾の内政部(内政省)移民署によると、9月に台湾を訪れた中国人客数は6万2462人と57%減った。中国が8月から個人旅行の渡航許可の発給を停止。事前に許可を取得したケースがあるため完全に途絶えたわけではないが、個人は6割減だった。団体旅行の取り扱いは不明だったが、同じく6割減った。

中国国務院(政府)の台湾事務弁公室は8月、個人旅行の停止について「(台湾与党の)民進党が絶えず『台湾独立』運動を推進している」からだと表明した。台湾の統一を目指す中国は総統選で対中融和路線の最大野党・国民党の政権奪還を望んでいるとされる。9月にはソロモン諸島など南太平洋の島国2カ国が相次ぎ台湾と断交して中国と国交を樹立するなど、中国は蔡政権への圧力強化を鮮明にしている。

台湾にとり、中国人客は海外からの観光客の約4分の1を占める最大顧客だ。北部の山あいの観光地、「九份」の茶館に勤める男性は「大陸(中国)客が消え、このままでは厳しい」と話す。観光地では例年中国客のピークとなる10月前半の中国国慶節の休暇期間中も状況は改善せず、危機感が強まっている。

ただ「中国に頼り続けるわけにもいかず、日韓の顧客を増やしたい」(土産物屋の女性店主)など冷静な声も多い。香港の民主派によるデモの激化を受け、台湾では「香港の二の舞いになりたくない」と対中警戒感が強まっている。いまは「圧力が強まるほど台湾の人々が中国との距離を感じやすくなっている」(台湾大学の張佑宗教授)といい、逆効果を生む可能性もある。

大手民放のTVBSが25日発表した総統選の世論調査では、蔡氏の支持率は52%と、対中融和路線の野党・国民党の韓国瑜・高雄市長(39%)を上回る。7月にこの形式の調査を始めて以降、リードは最大となった。

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