NPOや協同組合に学ぶ企業 SDGsへの効果的な近道
編集委員 石鍋仁美

2019/10/27 18:00
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おにぎりの写真をネットに1枚投稿すれば、途上国の子どもに5食分の給食が寄付される――。そんなキャンペーン「おにぎりアクション」が現在開催中だ。毎秋1カ月半ほど実施し、過去4年間で累計300万食を届けたという。

活動を支える企業は年々増え今年は日米の50企業・団体が協賛する。「次世代を育てる企業という理念をわかりやすく伝えられる」と飯田智紀・ベネッセコーポレーション学校カンパニー大学・社会人事業開発部部長は参加の動機を語る。

主催するNPO法人テーブル・フォー・ツー・インターナショナルは2年前、アジアのマーケティング団体が選ぶアワードで日本勢初の大賞を受賞した。「NPOがソーシャルアクションのプラットフォームを用意、企業と消費者が気軽に参加し相乗効果を生む点が面白い」と川上智子・早稲田大学大学院教授(マーケティング論)は解説する。

市場戦略の大家フィリップ・コトラー氏が社会課題の解決をビジネスの使命に掲げ、競争論のマイケル・ポーター氏が顧客や取引先と価値を「共創」せよと説く時代。戸惑う企業も多いが格好のナビゲーターがいる。社会課題の解決に向き合ってきたNPO、組合、ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)たちだ。

働き方改革のテーマは時短に加え人材育成、仕事の尊厳に広がっている。NPO法人クロスフィールズは企業の若手を一定期間、新興国の非営利団体などに送る「留職」を考案。日立製作所パナソニックなど40社から180人が参加し、自ら課題を発見できる人材の育成につなげている。

ネットを通じフリーランサーなどに配達やプログラミングなどの仕事を提供したり、民泊を仲介したりするギグエコノミーやシェアリングエコノミー。新産業の旗手と期待されるが低収入や労災、納品ミス、住宅街での騒音といったトラブルも目立ってきた。

米ニュースクール大のトレバー・ショルツ准教授によれば、こうした問題の解決策として欧米やインドで浮上しているのが「協同組合による新プラットフォーム」だという。例えば独立系デザイナーが協組で仲介サイトを開設し、いたずらに不利な契約を結ばないようにする。地域では民泊サイトを開き宿泊者の総数を適度に抑える。ネット経済の健全な発展に、海外の協組の手法は示唆に富む。

地域振興や環境問題で社会的ベンチャーと大手企業が手を組む例も目立つ。ファーメンステーション(東京・墨田)は東北地方で無農薬米やリンゴの搾りかすからエタノールを作り化粧品などの商品を開発。発酵残さを地域で畜産飼料に活用するなど「究極の循環型社会」作りを目指す。

「ずっと理解されない時代が続いた」(酒井里奈代表)が、近年は大手企業などとの協業が増加。発酵残さで育てた牛の肉をJR東日本グループが食材に使うなど事業を広げる。

国連による持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を迫られている企業は多い。貧困、不平等など17の分野があるが「何をすれば効果があるのか」との悩みも聞く。NPOなどの知恵や経験に学ぶのも手だ。

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