独、シリアに国際部隊派遣を提案 NATO理事会
IS対策立て直し、トルコも前向きに検討

2019/10/25 22:04
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【ブリュッセル=中村亮】24日に開いた北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会ではドイツがシリア北部に国際部隊を派遣する計画を提案した。欧州が治安維持に関与し、協力関係にあるシリア北部のクルド人勢力が過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦に専念できる環境をつくる狙いとみられる。トルコによるシリア侵攻の混乱でIS戦闘員100人以上が逃走しておりIS対策の立て直しを図る。

ドイツのクランプカレンバウアー国防相(中央)はシリアでのIS復活に強い懸念を示している(24日、ブリュッセル)=ロイター

ドイツのクランプカレンバウアー国防相がNATO理事会でシリア北部に国際管理地帯を設ける案を提示した。トルコがテロ組織と見なすシリアのクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」とトルコの衝突を防ぎ、IS対策を充実させる狙いだ。詳細は明らかになっていないが、すでにシリア北部で安全地帯の設置で合意したトルコやロシアとの協力を探っている。

エスパー米国防長官は理事会に先立つイベントでドイツ案について「我々が求めてきたものだ」として支持する考えを示した。トランプ政権はシリア混乱による難民の流入で悪影響を受ける欧州諸国がシリアでの治安維持で「応分の負担」をすべきだと主張してきた。とくにドイツは軍事費を国内総生産(GDP)の2%以上に増やすNATOの共通目標にほど遠く、トランプ氏が繰り返し糾弾してきた。

ロイター通信によると、トルコも計画に前向きな姿勢を示しており、詳細を今後詰めたうえで、計画実行の是非を決めるとみられる。

ただ「大半の欧州諸国は海外への部隊派遣に慎重だ」(欧州外交筋)との見方もある。シリアに派兵済みの英国やフランス以外の有志国集めは難航する可能性がある。米国は計画に賛成しつつも地上部隊を派遣しない方針だ。

米欧の安全保障当局者にはトルコとロシアだけにシリア北部の治安維持を委ねることに不安がある。米メディアによると、トルコはシリア停戦が「恒久化した」と米国に伝達した後も北部で軍事作戦を続けているという。NATOが最大の脅威とみなすロシアが拘束中のIS戦闘員の管理などにどの程度本腰を入れるかも不透明だ。

SDFはシリアでのIS掃討作戦で米欧と協力してきた。仮に北部での混乱が続けばSDFは人員を対トルコに割き、IS対策がおろそかになるリスクがある。欧州は国際部隊を派遣することでSDFがIS対策に専念する環境をつくるほか、IS再結集の動きを監視する狙いだ。

米政府によると、トルコによるシリア侵攻開始後、SDFが拘束していたIS戦闘員100人以上が逃走。米国務省は「逃走先は不明だ」と説明している。IS復活でシリア情勢が混乱すれば多くの難民が欧州に流入する恐れがある。本国の治安に悪影響が及ぶ恐れがあり欧州の危機感は米国よりも強い。

トルコがドイツなど欧州の有志国を招き入れる姿勢をちらつかせる背景には、クルド人勢力を追い出して確保した地域の開発資金をあてにしていることがありそうだ。トルコは、自国に360万人滞在するシリア難民の多くをこの地帯に定住させる計画を描いている。

同国政府の資料によると、100万人を帰還させる場合、住宅や公共施設などの建設には260億ドル(約2兆8000億円)かかる見込み。欧米などの「外国資金を活用する」としている。不況に苦しむトルコのゼネコンに仕事を与える思惑もある。

米国もIS対策を立て直すためシリア政策を修正している。トランプ大統領はシリア北部からの米軍の完全撤収を当初指示したが、石油施設をISから防衛するために数百人の米兵を残す方針に転じた。

トランプ氏は最近、SDFの司令官と電話した。SDFによると、トランプ氏は今後も支援を継続する考えを伝えた。与党・共和党は、トランプ氏がトルコによるシリア侵攻を事実上容認し、IS対策で協力してきたSDFを突き放したと批判しており、トランプ氏も対応を迫られている。

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