資生堂、UVカット新技術の日焼け止めを来春発売へ

2019/10/26 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

資生堂は2020年春にも、紫外線(UV)防御効果を高める新技術を投入した日焼け止めを発売する。肌の表面温度が体温ほどのセ氏37度以上あれば、日焼け止めに含まれるUVを防ぐ成分を均一に保持できる技術を新たに開発した。同社はスポーツシーンなどでの日焼け止めの需要拡大も見据え、UVカット技術の研究開発(R&D)に力を入れている。4月に本格稼働した横浜市のR&D拠点も活用して、迅速に製品化する。

新技術は、「熱エネルギーセンサー」と呼ぶ独自開発の成分を利用して日焼け止めのUV防御効果を高めるものだ。日焼け止めはUVを防ぐ成分を含むが、分子レベルでみると防御成分の並び方は乱雑なので肌に塗っても均質にならない。結果的に肌の場所ごとにUVを防ぐ度合いに違いが出て、日焼け止めの効果は限定的になってしまった。

そこでUV防御成分を整然と並ばせて均質にするために、熱エネルギーセンサーを利用する。同センサーには熱を受けるときれいに整列する特性があるため、その周りにあるUV防御成分の並びまでも整え肌に行き渡らせてくれる。資生堂の実験では、肌の表面温度が37度以上の状況で同センサーが反応する。その他の条件にも左右されるため一概には言えないが、37度の状況で従来比1.2倍のUVカット効果が生じるという。

同社によれば世界で初めてとなる新技術。研究開発には5年ほどを要した。日焼け止めは太陽から発せられるUVを防ぐためのもの。同じく太陽光から出る熱エネルギーを利用してUVカット効果を高めるというのは逆転の発想で、試行錯誤を重ねたという。

オゾン層など環境の変化で、UVの発生量は増加傾向にある。一方でランニングなどが流行し、スポーツテイストを取り入れた「アスレジャー」などがファッショントレンドとなっている。資生堂は需要拡大を視野に入れ、2014年には日焼け止めが水や汗に触れると均質な厚さの膜を形成しUVカット効果が高まる技術を開発し、すでに製品化している。今回開発した技術も新商品に取り入れ、来春には店頭に並ぶ見通しだ。

技術を素早く製品化するための新たな仕掛けが、400億円強を投じて横浜市のみなとみらい地区に設けたR&D拠点「グローバルイノベーションセンター」。資生堂の研究員や美容部員が接客する「ビューティー バー」を設け、訪れた消費者や小売業者など個々人の肌質や好みに合わせたカスタムメード化粧品を約1時間で作る。試してみた感想や意見をその場で聞き取り、即座に開発に生かせる。資生堂のR&Dにかける費用は連結売上高の約3%にあたる年間300億円程度。数年後には4%まで増やす考えで、同センターへの期待も高まりそうだ。(川井洋平)

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