千葉で記録的大雨 土砂崩れなどで4人死亡

本州の南から東の海上を並んで進んだ低気圧と台風21号の影響で、25日は千葉県で記録的な大雨となった。同県では土砂崩れなどにより、4人が死亡、1人が行方不明となっている。多くの河川が氾濫し、各地の自治体は避難指示や避難勧告を出した。鉄道の運休など交通も大幅に乱れた。
千葉県警などによると、千葉市緑区の2カ所と同県市原市の1カ所で土砂崩れがあった。千葉市緑区誉田町では60代女性の死亡が確認され、40代の女性と連絡が取れておらず、捜索が続いている。
同区内では別の住宅でも遺体が見つかり、住人の60代男性とみて確認を進めている。
千葉県長南町と長柄町で、氾濫した川の水に車が流されるなどして、80代の男性2人が死亡した。
市原市では50代女性が自宅敷地内で土砂に巻き込まれて重傷を負った。
市原市内の養老川と神崎川が氾濫し、周辺が冠水した。市は午後6時時点で約5万人に避難指示と避難勧告を出した。県は同市の高滝ダムと君津市の亀山ダムで一時、緊急放流を検討したが、水位が下がったため見送った。

交通も乱れた。成田国際空港会社によると、成田空港の到着便は午後6時時点で22便が目的地を変更した。鉄道や高速バスの運休や高速道路の通行止めによって到着ロビーなどが混雑した。
JR東日本千葉支社によると、内房線や外房線などの一部区間で終日運行を取りやめた。JR佐倉駅(佐倉市)は線路に水があふれ、電車が乗り入れできない状況に。同駅付近ではバスやタクシーも運休し、レンタカーを借りて帰宅する人の姿もみられた。足止めされた客が10人ほど立ち寄った同駅近くの喫茶店の男性店主(64)は「最近の台風でもこれほどの被害はなかった」と驚いた。
JR千葉駅(千葉市)では午後7時ごろ、外房線などの運転再開を待つ人で駅構内があふれかえった。千葉県東金市に住む男性会社員(56)は「自宅までの電車が止まっている。再開を信じて待つほかない」と話した。
タクシー乗り場には一時約200人が列をつくり、最後尾に並んだ千葉市緑区の男性会社員(46)は「自宅周辺で土砂崩れが起きたと知って状況が心配」とため息をついた。
気象庁によると、低気圧と台風21号による湿った空気が合わさり雨雲が発達した。千葉県で25日朝から午後まで激しい雨が降り続き、鴨川市で観測史上最多となる1時間に最大85.5ミリの猛烈な雨を観測した。市原市や佐倉市などで10月の最多記録を更新した。市原市では午後3時50分までの12時間に283.5ミリの雨が降り、10月の平年の1カ月分の降水量を約3割上回った。
気象庁によると、台風21号は25日午後9時、日本の東の太平洋上で温帯低気圧に変わった。
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