飲食店にロボ、調理も下げ膳も 元グーグルら起業

2019/10/28 0:00
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人手不足の深刻な飲食店のためにスタートアップ企業が相次いでロボットを開発している。調理や下げ膳、食器の片付けなど、できる作業が広がっている。人間の目の代わりとなる画像認識の技術が進歩し、ロボットに任せられる仕事が増えてきたためだ。新興企業が、遅れていた飲食業の生産性向上に貢献しようとしている。

画像分析 応用広がる

セブン&アイ・フードシステムズは17日、イトーヨーカドー幕張店(千葉市)の飲食店にたこ焼きロボット「オクトシェフ」を導入した。鉄板に油を引くところから、皿への盛りつけまでやってしまう。スタッフの準備はタコなどの具材を切っておくことだけだ。

コネクテッドロボティクス(東京都小金井市)が開発したこのロボットは、焼き加減を画像センサーで認識し、ひっくり返す必要のあるたこ焼きを見つける。人の仕事を7時間減らすという。

いま、飲食店の様々な仕事を担うロボットの開発が進んでいる。精緻に動くアームは人間の手の代わりだ。何をつかむべきか判断する画像認識のセンサーや人工知能(AI)は目となり、請け負う「仕事」が増えた。

スマイルロボティクス(東京・目黒)は食べた後の食器を下げる「下げ膳ロボット」を開発中だ。台車にアームがついていて、食器やコップをつかんだりお盆ごと片付けたりする。食器の種類や位置は、対象を立体でとらえる3次元センサーとAIで判断する。

小倉崇社長は米グーグルなどで二足歩行ロボットを研究し、6月に起業した。アームなどハードウエアから画像認識ソフトウエアまで手がけている。自動化により、スタッフは接客に時間をかけられる。小倉氏は「サービスの質を落とさずに合理化できるよう助けたい」と話している。

2020年に店舗での試験を始める考え。飲食店に合わせてカスタマイズし、継続課金モデルで提供する。消費者がいる環境で稼働させるロボットは、厨房で動かす場合と比べて安全確保の対策が欠かせないという。

負担の大きい食器の片付け

客席からお盆を取り下げたあと、食器を洗って元の場所に戻すロボットも開発されている。テックマジック(東京・港)は片付けロボットを20年に発売する計画だ。業務用厨房機器メーカーのフジマックと開発した。食器を洗い、ベルトコンベヤーで運んで、センサーで食器の種類を認識。アームで持ち上げ、種類ごとに収納する。

白木裕士最高経営責任者(CEO)は「食器の片付けは負担の大きい作業のひとつ」と話す。多くの飲食店に洗浄機があるが、スタッフが事前に軽く汚れを落としたり、洗った後に分別して納めたりする必要がある。

18年創業のテックマジックはボストンコンサルティンググループ出身の白木氏が起業した。トヨタ自動車グループでロボットを研究した但馬竜介氏ら、ロボット・AIに携わった技術者20人近くが中核をなす。

調理ロボットも開発中で、焼く・煮るなど複数の機能を持たせる。約20社から引き合いがあるといい、同社も飲食店ごとに機能を変えて納める。テックマジックはベンチャーキャピタルのジャフコから、このほど数億円の出資を受けた。

飲食業は人手を確保しやすく人件費のかからない時代が続き、機械化が進まなかった。現在は人手不足が深刻化し、生産性向上が喫緊の課題だ。

帝国データバンクの調査では、飲食店の80%が、非正規社員が不足していると答えた。全体平均の30%を大きく上回っている。IT(情報技術)の導入と並んでロボット活用の余地が大きい。

食文化によって発展するロボットに違い

世界を見渡すと、センサーやAIをてこにしたロボットに需要があるのは日本だけではない。活用の仕方は食文化に合わせたものとなる。

米国でピザを宅配している米ズームは、協働ロボットを設けた移動式のキッチンを開発した。AIの需要予測にもとづいて、移動しながらトラック内で調理し、出来たてを販売する。米CBインサイツによると、企業価値は22億ドル(約2400億円)にのぼる。

米カフェXテクノロジーズは、ロボットのバリスタが入れたてのコーヒーを提供する店舗を展開している。無人店舗にはエスプレッソマシンとアーム型ロボットのみが設置され、コーヒー1杯を20秒ほどで入れる。

米調査会社メティキュラス・リサーチは、世界の飲食店ロボットの市場規模が25年に約3100億円になると予測する。コンサルティング会社シグマクシス(東京・港)の田中宏隆氏は「米国ではチップで稼げる接客が重要で、調理場の自動化が日本に比べて進んでいる」と話している。

(潟山美穂、山田遼太郎)

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