訪日客に町工場体験や忍者修行 深化するコト消費

2019/10/26 12:00
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松よし人形はひな人形の生地を使った小物の制作体験会を実施

松よし人形はひな人形の生地を使った小物の制作体験会を実施

体験型のコト消費に対するインバウンド(訪日外国人)の関心が高まっている。レンタル着物やスキーなどが定番となるなか、地域の産業や観光資源を生かした体験を提供する企業・団体が増えている。大阪市で27日まで開かれている観光イベント「ツーリズムEXPOジャパン」をのぞくと、町工場体験や忍者修行といった日本人にとっても珍しい企画が目立った。

一般社団法人の大阪モノづくり観光推進協会(大阪府東大阪市)は東大阪市で町工場ツアーなどを実施している。同市は町工場が集まるものづくりの街として知られる。ツアーなどは「町工場の職人が観光資源になるのではないか」との思いから2008年に始めた。最近は海外からの参加者も増えているという。

訪日客をさらに呼びこもうと、ツーリズムEXPOに出展した。人形工房の松よし人形(東大阪市)はひな人形の生地を使った小物の制作体験会を開いた。同協会の足立克己事務局長は「メード・イン・ジャパンの高い品質を支える東大阪のものづくりの心に触れたいとの声は多い」と話す。現在は団体客だけを対象としている。今後は個人客の受け入れも「考えていきたい」。

沈金は漆器の装飾技術(石川県のブース)

沈金は漆器の装飾技術(石川県のブース)

石川県は「沈金」をアピールした。沈金とは漆器を装飾する職人技。漆塗りした木材の表面を削って模様を描いたあと、模様部分の溝に接着剤の役割を担う漆を入れ、そこに金粉を埋める(沈める)ことから沈金と呼ばれる。漆器の生産地である同県北部の輪島市の美術館などで体験できる。

15年の北陸新幹線の開業で首都圏から同県にアクセスしやすくなり、輪島市も「訪日客が増えつつある」(同市観光課の浅野智哉観光係長)。ただ、新幹線が発着する金沢市にとどまる訪日客は少なくない。沈金など地域の観光資源の認知度を高めて誘客につなげる。

日本忍者協議会のブースで説明を聞く外国人

日本忍者協議会のブースで説明を聞く外国人

アニメや映画などを通じて外国人にも浸透している忍者。忍者にゆかりのある自治体などでつくる日本忍者協議会(東京・港)は10月、訪日客向けの認定制度を始めた。呼吸法や歩き方、精神を習得することで昇級・昇段する。3級から10段まであり、3級は1~2時間のプログラムで受講料は1万円からになる。

三重県伊賀市や東京都などにある道場で開き、英語で進行する。同協議会のサイトで受け付けており、旅行会社などとの連携も検討する。忍者というと偵察や手裏剣などのイメージが強い。広報担当の福島嵩仁さんによると、忍者に最も必要とされるのは「生き延びるための術」という。訪日客にも忍者の本質を学んでもらうため、認定制度を企画した。

日本政府観光局によると、18年の訪日客は3119万人と5年で3倍に増えた。家電製品などの「爆買い」は落ちつき、リピーターを中心に日本特有の体験を求める傾向が強くなっている。レンタル着物やスキー、花見といったコト消費が盛り上がるにつれ、地域により根ざした体験プログラムを提供し、違いを出そうとする企業・団体が増えそうだ。

(大阪経済部 斎藤毬子)

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