米中「新冷戦」へ剣が峰 ペンス氏、強硬派の主張代弁

2019/10/25 11:30
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24日、ワシントンで演説するペンス米副大統領=AP

24日、ワシントンで演説するペンス米副大統領=AP

【ワシントン=永沢毅】ペンス米副大統領が24日、約1年ぶりに中国に関する包括的な政策演説に臨み、中国への対決姿勢を再び鮮明にした。両国の貿易戦争は緩和に向かうとの見方もあったが、中国の急速な台頭に危機感を募らせる米国内の対中強硬派を代弁した形だ。いまや「新冷戦」とも目される米中対立の深まりは避けられず、世界はさらに翻弄されることになりそうだ。

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「私たちが提起した多くの課題で、中国の行動はますます攻撃的かつ不安定になっている」。ペンス氏は前回演説した2018年10月以降も、中国の拡張主義的な行動に改善がみられないと糾弾した。

米中間に横たわる懸案はこの1年で目立った進展はほとんどみられていない。貿易でみると、19年10月半ばの「部分合意」は手を着けやすい中国による農産物購入などにとどまり、米が修正を求める産業補助金などの構造改革を先送りした。人民解放軍は南シナ海でベトナムなど周辺国を抑圧する行動を繰り返し、新たに米空母を標的としたミサイル実験を初めて実施した。

ペンス氏は6月にも演説を予定していたが、同月末の米中首脳会談への影響を考慮して延期していた。今回も米中は10月半ばに貿易分野の「部分合意」を交わし、11月半ばのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせた首脳会談で正式署名をめざしている。

今回の演説は一時「休戦」のムードに水を差しかねないタイミングだが、来日している米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長兼日本部長は日本経済新聞の取材に、今回の演説が「トランプ大統領本人の意向と一致しているのか、検証する必要がある」と指摘した。

20年の大統領選で再選をめざすトランプ大統領は成果として貿易分野での合意を急いでおり、ペンス氏は演説で「トランプ大統領は合意に楽観的だ」と説明した。ただ、米政権内には「合意を急ぐあまり、時に中国に融和的に傾きがちなトランプ氏への懸念がある」(元米政府高官)。

とりわけ太平洋で中国軍の増強に直面している国防総省にその傾向が強い。ペンス氏は国内外で強硬派の代表格と目されている。今回の演説には中国を既存の国際秩序の変更をはかる「修正主義勢力」とみなし、徹底的に対抗する米政権の中長期的な対中政策に変化はない点を内外に知らしめる狙いが透ける。

米国の国防予算は79兆円(19会計年度)と中国の約19兆8千億円(同年の国防予算案)をなお大きく上回る。ただ、オーストラリアに拠点を置く米国研究センターは、オバマ前政権での軍事費の削減や長期化する中東地域での対テロ戦争などが影響し「インド太平洋での米国の軍事的な優位はもはやない」との分析結果を今夏にまとめた。

中国は建国70周年を記念する軍事パレードで、米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「東風(DF)41」を初めて公開した。国防総省にはこうした動きを踏まえ、アジアシフトの強化を急ぐべきだとの意見も強い。

今回の演説に対し、中国が反発を強めるのは確実だ。習近平(シー・ジンピン)政権は景気の悪化で国内統治が不安定になる事態は避けたいとみられるが、構造改革にせよ南シナ海にせよ今後も米国の高い要求には応じない公算が大きい。

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