ペンス米副大統領、中国は「検閲まで輸出」 演説概要

トランプ政権
米中衝突
2019/10/25 5:59
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24日、対中国政策で演説するペンス米副大統領(ワシントン)=AP

24日、対中国政策で演説するペンス米副大統領(ワシントン)=AP

ペンス米副大統領は24日、対中国政策についてワシントン市内で演説した。演説の要旨は以下の通り。

私は本日、21世紀の運命の多くを左右する主題である米中関係について話すためにここに来た。トランプ米大統領は政権初期から、より公正で安全、平和な世界を達成するため、率直で公正かつ相互尊重に基づく関係の構築を決意してきた。

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1年前、米国の国益と価値観に最も有害な多くの中国の政策について話した。債務外交や軍拡主義、信仰の抑圧、監視国家の建設、為替操作、自由で公正な貿易と矛盾する貿易政策、強制的な技術移転や産業への補助金などだ。過去の米政権はこれらの乱用を知りながら何もしなかった。

わずか20年未満の間に世界史上最大の富の移転がみられた。過去17年間で中国の国内総生産(GDP)は9倍以上成長し、世界第2位の経済大国になった。この成功の多くは米国から中国への投資によるものだ。我々は過去25年間で中国を再建したが、そうした日々は終わった。トランプ氏が3年未満でその物語を永遠に変えた。

米国は現在、中国を戦略的かつ経済的なライバルと認識している。この1年、大統領は過去の失敗を修正し、米中関係をより公正で安定した建設的な針路に定めるために大胆かつ断固とした行動を取った。米国は世界の歴史で最も強い経済を保持している。

数百万人に上る少数民族と宗教的少数派の人々が、彼らの宗教的、文化的なアイデンティティーを根絶しようとする中国共産党の行いに苦しんでいる。

中国にはよりよい未来を望んでいる。だからこそ、この数十年間で初めて米国は中国の指導者に大国の指導者として接している。敬意を持って、しかし一貫性と率直さも持って対応している。

私のハドソン研究所でのスピーチから1年が経過した今、中国は米中の経済関係改善のための意味のある行動をまだ取っていない。その他の多くの問題では、中国の行動はさらに攻撃的でかく乱的になった。貿易面で5月には、数カ月に及ぶ交渉の後にできあがった150ページの合意書を最後になって拒絶した。

■中国、南シナ海で挑発一段と

トランプ大統領は、依然として中国が取引を望んでいると信じている。チリで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で第1段階の合意書に署名できることを望んでいる。

しかし、知的財産侵害を止めると2015年に約束したにもかかわらず、中国政府は米国の知的財産の侵害を支援し続けている。麻薬入り医療用鎮痛剤「フェンタニル」を巡っても約束を守らず、何千人もの米国民が毎月命を落としている。中国はかつてない監視国家を構築している。その技術をアフリカ、南米や中東に輸出している。

この1年間で中国の行動は隣国に対してさらに挑発的になってきた。中国は南シナ海を軍事化するつもりはないと言う一方、対艦ミサイルなどを人工島に配置している。東シナ海では、同盟国である日本は中国の挑発に対する緊急発進(スクランブル)の回数が19年は過去最多となる見通しだ。また中国は日本に施政権がある尖閣諸島の周辺水域に60日以上連続で艦船を送り込んだ。中国は広域経済圏構想「一帯一路」を使って世界中の港に足場を築いている。

我が政権はこれからも「1つの中国」政策を尊重していくが、札束外交を使って中国はさらに2カ国も台北から北京に外交的承認を乗り換えさせ、台湾の民主主義への圧力を強化している。国際社会は、台湾への関与は台湾と地域の平和を守るものだということを忘れてはいけない。

中国共産党による自由への嫌悪を最も示したのは、香港の情勢だ。トランプ大統領は米国が自由を支持すると明言してきた。当局が香港の抗議する人たちへの暴力に訴えれば、貿易交渉を妥結するのは一段と困難になると繰り返し明言してきた。米国は引き続き中国に抑制を促す。

■ナイキ、香港問題でビジネス優先

中国共産党は米国の世論に影響を与えようと、米国の企業や映画産業、大学、シンクタンク、研究者、報道関係者、そして自治体や州、連邦政府の役人に見返りを与え、威圧を続けている。中国は米国に不公正な貿易で何千億ドル分もの製品を輸出するばかりでなく、最近は企業の欲を悪用して検閲をも輸出しようとしている。

ナイキは、いわゆる社会正義の擁護者だと自己宣伝している。しかし香港の問題では、その社会的良心を捨てることを選んでいる。中国にあるナイキの店は、中国政府によるヒューストン・ロケッツの幹部のツイッター投稿への抗議に参加し、ロケッツの商品を撤去した。故意に人権侵害を無視する企業文化は進歩的ではなく、抑圧的だ。

米企業やプロスポーツ、プロ選手が検閲を甘受するならば、それは単に誤りではなく非米国的だ。米国の企業は、国内と世界で米国の価値観のために立ち上がるべきだ。

中国の経済的・戦略的行動と、米国の世論を形成しようとする企ては、私が1年前に言った通りになっている。中国は違う米大統領を欲している。それはトランプ大統領の指導力が効果を上げていることの究極的な証明だ。米経済は日ごと力強く成長し、中国経済はその代償を支払っている。大統領の戦略は正しい。

大統領は米国は中国との対立を求めているわけではない。我々は公平な競争の場、開かれた市場、公平な貿易、そして我々の価値観の尊重を求めている。我々は中国の発展を抑え込むつもりはない。建設的な関係を望んでいる。

トランプ政権が中国からのデカップリング(分離)を求めているのかと問う人がいる。答えは明確なノーだ。米国は中国への関与と、中国の世界への関与を求めている。しかし、公正さ、相互尊重、国際的な通商ルールに一致した関与だ。

多くの問題にもかかわらず、米国はこれらの問題が中国との実質的な協力を妨げるようなことは許さない。米中の経済関係で長年の懸案である構造改革実現のため、中国と誠意を持って交渉を続ける。トランプ大統領は引き続き合意に楽観的だ。

米中は北朝鮮の非核化実現に向けて協力を継続し、軍縮やペルシャ湾における制裁執行でもさらなる協力があるだろう。米国は引き続き中国とのより良好な関係を求める。米国は対中関係の抜本的な再構築を引き続き追求する。

トランプ大統領は習近平国家主席と強い個人的関係を築いてきた。それを基盤に、我々は両国の国民に恩恵を与える関係強化の道の追求を続ける。我々は、米国と中国が平和と繁栄の未来を共有するために協力できる、協力しなければならないと熱烈に信じている。しかし、そうした未来は、率直な対話と誠実な交渉でしか実現できない。

【質疑での応答】

知的財産権の侵害は深刻な問題だ。ある試算によると、米経済は知的財産権侵害で貿易赤字と同じくらいの損失を出している。これらの問題に大統領は引き続き強い姿勢で臨もうとしている。ただ、我々は、経済関係を正すことができれは、それは他の問題に取り組む上での土台を作ることになると信じている。大統領は、この経済関係を正す機会は、米中関係の終わりではなく、新しい関係の始まりであると心から信じている。

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