司法取引成立が焦点に ゴーン元会長、全面無罪主張

2019/10/24 22:09
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日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(65)の弁護団は24日、来春にも始まる公判で起訴内容を全て否認する方針を明らかにした。強調したのは東京地検特捜部が日産幹部ら2人と交わした日本版「司法取引」の違法性だ。特捜部の捜査の土台を崩し、検察側の立証全体の信用性を揺らがせる狙いがあるとみられる。

24日に記者会見した弘中惇一郎弁護士は「(無罪の)主張に根拠はある」と自信を見せた。起訴内容に反論する内容の書面(約60ページ)の多くを、捜査が違法で起訴自体が無効だとする「公訴棄却の申し立て」に充てた。

弁護側は日産の日本人役員がルノーとの統合を恐れ、ゴーン元会長を追放するために不正行為の調査を始めたと指摘。日産幹部ら2人が特捜部と合意した司法取引は、日本人役員のこうした意向を受けたもので「法の趣旨に反するものであり、違法だ」と訴えた。

司法取引は2018年6月に導入され、ゴーン元会長の事件が2例目とされる。最高検は運用で考慮が必要な点として▽処分を軽減して捜査・公判への協力を得ることに国民の理解が得られるか▽従来の捜査手法で同様の成果を得るのは困難か――などを挙げている。

検察側は司法取引の手続きの経緯を明らかにしていない。検察幹部は最高検が挙げている点を踏まえても手続き自体には問題がないとしており、「司法取引がなければ(ゴーン元会長の)立件は難しかった」とも語る。

弘中弁護士は記者会見で捜査を違法とする主張について「証拠はあるが、(今は)示すことはできない」と説明。公判では司法取引を含め捜査の適法性が焦点の一つになりそうだ。

そのほか、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)事件は「未払い分」で記載されなかったとされる約91億円の役員報酬の存否が争われる見通し。会社法違反(特別背任)事件の対象となった中東の知人らへの送金については、支払いの趣旨が最大の争点となるとみられる。

弁護側の主張について、元検事の高井康行弁護士は「無罪主張の内容はやや具体性に欠けており、現時点では検察側が有利に見える。弁護側は証拠が開示される状況に合わせ主張を補強していくのではないか」と指摘した。

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