世界ラリー選手権、トヨタも参戦 地域振興・車両開発に
2020年11月に愛知、岐阜両県の8市町で世界ラリー選手権(WRC)が開かれる。トヨタ自動車は2017年からWRCに再び参戦している。モータースポーツを通じた自動車産業や地域経済の活性化に加え、市販車の開発にも役立てたい考えだ。
24日、東京都内で開いた発表会で愛知県の大村秀章知事は「愛知は自動車産業の集積地として、モータースポーツを盛り上げて、世界に発信する使命がある」と話した。トヨタの豊田章男社長も「車の世界大会、しかも最終戦が来ることは非常にいいこと」とかねて歓迎の姿勢を示していた。
WRCは世界で年間14戦を行い、1戦ごとに20種類前後のコースを4日かけ走り、速さを競い合う。自動車メーカーではトヨタのほか、米フォード・モーターや仏グループPSA(旧プジョーシトロエングループ)、韓国・現代自動車の4チームが参戦している。
日本でWRCの知名度はこれからだが、欧州では人気の高いスポーツだ。一般道を時速100~200キロで駆け抜けるため「公道のF1」ともいわれる。
トヨタは17年に18年ぶりにWRCに「復帰」。小型車「ヤリス」をベースにしたラリー車で戦っている。「道が人を鍛え、クルマを鍛える」(豊田社長)という考えから、ラリーから得た知見を車開発や人材育成につなげようとしている。過酷な状況下で得た知見やデータは、20年に発売される予定の新型ヤリスなどの開発にいかされている。
WRCは日本では04年から10年まで北海道で開催されてきた。しかし、SUBARU(スバル)やスズキなど国内メーカー勢が相次ぎ撤退したこともあり、それ以降は日本では開かれていない。
トヨタチームの成績は17年のシーズンは3位だったが、18年は1位に浮上した。19年もこれまで12戦を終え、現代自に次ぐ2位に付けている。ドライバー別のランキングではトヨタのタナク選手が現時点でトップに立つ。