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テスラCEO、上海新工場「成長のひな型に」

【シリコンバレー=白石武志】米電気自動車(EV)メーカーのテスラは23日、中国・上海市で建設中だったEVの新工場を着工から10カ月で稼働させたと発表した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「上海新工場は成長のひな型になる」と強調。建屋の建設と生産設備の導入を並行して工期を短縮する手法は今後建設する欧州の新工場にも適用する。

テスラの上海新工場は年産15万台の生産能力を持つ=ロイター

テスラが上海郊外で年産能力15万台の新工場の建設に着手したのは今年1月。建屋の建設と並行してプレス機や塗装、組み立てのラインを設置することで、当初のスケジュールを約2カ月前倒しし、10月に試験生産の開始にこぎ着けた。

自動車新工場の建設は数年がかりであることがほとんど。EVはガソリン車に比べ部品点数が少ないことを差し引いても、テスラの上海新工場の工期の短さは異例だ。23日の電話会見に出席したマスクCEOは「私の知る限り、前例のないことだ」と述べた。

テスラの上海新工場は外資への市場開放を印象づけたい中国政府と、世界最大のEV市場での現地生産を悲願としてきたマスク氏の蜜月関係の象徴とされる。短い期間で人材を育成したりサプライチェーンを構築できたりした背景には中国政府の支援もあったようだ。

上海新工場では当初、主力小型車「モデル3」を生産し、主に中国市場に供給する。ただ量産開始には中国当局の認可が必要で、テスラは出荷時期を明言していない。将来的には車載電池を含めてEVを一貫生産する方針だが、当面は既存の取引先から調達した電池を組み立てて、EVに搭載する方針とみられる。

これまで唯一の完成車組み立て拠点だった米カリフォルニア州フリーモントの工場の年産能力は44万台。上海新工場の完成によってテスラ全体の年産能力は従来の1.3倍に増える。中国政府はテスラ車について10%の自動車取得税を免除すると発表しており、本格生産が始まれば中国での旺盛な需要に応える体制が整う見通しだ。

テスラは現在、欧州でも電池とEVの一貫生産工場を建設する計画を進めており、年内にも立地先を発表する。工期短縮のノウハウを米中欧の世界3極の生産体制の早期実現に役立てる考えだ。

テスラが同日に発表した19年7~9月期決算は、最終利益が前年同期比54%減の1億4300万ドル(約155億円)だった。モデル3の量産が軌道に乗ったことで生産や物流の効率が高まり、3四半期ぶりに黒字に転換した。最終赤字を予想していた株式市場にとってはポジティブサプライズで、23日の時間外取引でテスラ株は急騰した。

19年7~9月期の販売台数は16%増の9万7186台と四半期ベースで過去最高を更新し、19年通期の世界販売は36万~40万台となる見通し。

ただ量産車メーカーの目安とされる年間販売100万台への道はまだ遠い。モデル3にとって最大の市場になると期待する中国事業の成否が、再成長のカギを握ることになりそうだ。

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